タイトル | 放牧密度1頭/haのノシバ優占草地での肉用繁殖牛の養分摂取量と補給指針 |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 近畿中国四国農業研究センター |
研究期間 | 2001~2003 |
研究担当者 |
安藤 貞 西口靖彦 早坂貴代史 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 中国地方で1haあたり1頭のノシバ優占草地放牧を行った繁殖牛の養分摂取量と補助飼料の給与量を提示する。補給量(不足量)指針や子牛の発育面から9月まで維持期、妊娠末期、授乳期の繁殖牛が、11月まで維持期、妊娠末期の繁殖牛がほぼ補給なしで放牧可能である。 |
背景・ねらい | 無施肥条件下のノシバ優占草地はノシバの飼料成分や栄養価から肉用繁殖牛の維持量程度の生産力とされ、妊娠牛や授乳牛では補給の考慮を要するが、その時期や給与量の詳細は不明である。そこで中国地方で標準的放牧密度である1頭/haのノシバ優占草地における繁殖牛の放牧月別養分摂取量を推定して、ウシ栄養期別要求量と比較し、それに基づく補助飼料の給与量(補給量)の指針を提示する。 |
成果の内容・特徴 | 年平均気温15.5℃で、ノシバ採食割合が37~51%であるノシバ優占草地4.3ha(近中四農研畜産草地部:島根県大田市)に、放牧密度1頭/haの条件下で、5月、8月、9月、10月に分娩の黒毛和種繁殖雌牛(3~6産次)4頭を4~11月に子付放牧した。 1. 繁殖牛の体重指数(入牧時100%)の推移(図1)は、全頭ともおよそ9月末までは100%以上であり、補給が不要である。 2. 子牛の体重(図2)は、120日齢まで正常発育曲線の上限値で推移したが、5月生まれの子牛は、120日齢以降の放牧末期(10、11月)に体重の停滞を認める。 3. 放牧期別の推定養分摂取量(表1)の平均は、放牧期が進むにつれ低下し、8月以降は養分要求量が100%を下回る傾向を示す。牧養力(CD)は、4-9月が230CD/ha、4-11月が273CD/haである。 4. 放牧密度1頭/haの条件下では、補給量(不足量)の指針(表1)および子牛の発育面(図2)から、9月末(シバ草高4.8cm)までに退牧すれば、維持、妊娠末、授乳各期の繁殖牛がエネルギー充足し、ほぼ補給無しで放牧可能である。また維持、妊娠末期のウシは11月(シバ草高2.6cm)までエネルギー充足し補給なしで放牧可能である。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 中国地方あるいは年平均気温15℃前後の地域におけるノシバ優占草地放牧の補給量(不足量)指針として活用できる。他の地方での補給(不足)の目安や退牧の指標としてのノシバ草高は、授乳牛は5cm以下、維持、妊娠末期牛は3cm以下である。 2. 放牧後期に主要ミネラルが不足傾向にあるので、退牧後補給する。 3. ノシバ優占草地内に秋以降に利用可能なススキやササなどがあれば、放牧期間の延長が期待される。 4. 表の10-11月の養分摂取量は、補給により低下した部分もあり、やや過小評価の可能性がある。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | 施肥 乳牛 繁殖性改善 |