タイトル | スイートピーにおける巻ひげに関するDNAマーカーの作成 |
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担当機関 | 和歌山県農林水産総合技術センター |
研究期間 | |
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発行年度 | 2002 |
要約 | スイートピーの巻きひげを検定するRAPDマーカーを探索し、再現性の高いSCARマーカーを開発した。このマーカーは巻きひげ遺伝子と7.7cMの距離で連鎖しており、無巻きひげ性の省力品種育種の早期選抜マーカーとして利用できる。 |
キーワード | スイートピー、巻きひげ性、DNAマーカー、早期選抜 |
背景・ねらい | スイートピーは切り花用に栽培されており、小葉先端の巻きひげは花柄に絡みつき、切り花の商品性を低下させる。そのため、栽培期間を通して巻ひげの除去が必要であり、他の品目と比べ、長い労働時間を要するため(スイートピー2,780時間/10a;スターチス660時間/10a)、巻きひげの無い切り花用品種の育成は、労働時間の短縮に大きく貢献する。また、スイートピーは直根性で直根に傷がつくと、その後の生育が悪くなる。そこで、無巻きひげ個体を播種直後に選抜する技術として、巻きひげに関するDNAマーカーを作成する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 巻きひげ性切り花用栽培品種「グレース」と無巻きひげ性矮性品種「スヌーピー」の交雑F2集団を用いて、302種類のプライマーから巻きひげ形質と連鎖した1種類のRAPDマーカーを選抜する。このDNA断片をクローニングして塩基配列を決定し、特異的に増幅するプライマーペア(SWB32F,R)を設計する(表1)。 2. 設計したプライマー対を用い、94℃で加熱を1分間行った後、加熱反応94℃1分間、増幅反応60℃で1分間、伸長反応72℃で1分間を30サイクル行い、最後に72℃で6分間加温する反応を行った場合、巻きひげ性「グレース」では、1200bpに明確なDNAマーカーが確認されるが、無巻きひげ性の「スヌーピー」では認められない。 3. 「グレース」×「スヌーピー」の交雑F2集団において、巻きひげ性60個体と無巻きひげ性18個体についてDNAマーカーの分離を調べたところ、巻きひげ性54個体ではDNAマーカーは検出されるが、巻きひげ性6個体では検出されない。また、無巻きひげ性18個体の全個体でマーカーは検出されない(表2、図1)。 4. DNAマーカーは巻きひげ遺伝子と7.7cMの距離で同一染色体に座位しており、巻きひげ性を識別することができるSCARマーカーである。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 発芽直後の第1葉での無巻きひげ性の選抜は、より多くの無巻きひげ性個体の栽培が可能となり育種効率の向上が期待できる。 2. 本マーカーはスイートピー(Lathyrus odoratus L.)の栽培品種で巻きひげ検定が可能であり、他の交配組み合わせの個体群の選抜にも有効である。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | 育種 スターチス DNAマーカー 播種 品種 |