殺菌剤散布と摘果法改善によるナシ心腐れ症の防止対策

タイトル 殺菌剤散布と摘果法改善によるナシ心腐れ症の防止対策
担当機関 広島農技セ
研究期間 2000~2002
研究担当者 新田浩通
西川祐司
水主川桂宮
発行年度 2002
要約 Phomopsis属菌に対するナシ果実の感受性が高い時期である、満開期から満開45日後頃までの間に、防除効果の認められた殺菌剤を約10日間隔で5回散布する方法と横~下向きの果実を優先して残す摘果法を組み合わす防止対策は、無袋栽培条件下で心腐れ症の発病を顕著に抑制できる。
キーワード ナシ、心腐れ、Phomopsis属菌、摘果、殺菌剤、防除
背景・ねらい 近年、広島県内の無袋栽培ナシ「幸水」で心腐れ症の発生が増加しつつあり、この約8割がPhomopsis属菌に起因することはすでに明らかにしている。ここでは、無袋栽培条件下において、Phomopsis属菌を主要因とする心腐れ症の防止対策を確立する。
成果の内容・特徴 1.
Phomopsis属菌の分生胞子懸濁液を用いた時期別の噴霧接種試験によると、ナシ果実の感受性が高い時期は、満開期から満開45日後頃までである(図1)。
2.
心腐れ症多発園でナシ果実の感受性の高い時期に殺菌剤を約10日間隔で5回散布すると、チオファネ-トメチル水和剤1000倍及び1500倍、キャプタン水和剤800倍、ジチアノンフロアブル1000倍、有機銅フロアブル1000倍の防除価が86~93、次いで、ジラム・チウラムフロアブル500倍、プロピネブ顆粒水和剤500倍の防除価が58~66を示し、防除効果が認められる(デ-タ省略)。
3.
ナシ果実の感受性が高い時期におけるチオファネ-トメチル水和剤1500倍における散布回数と防除価は、満開日1回散布のみでは24であり実用上の防除効果は得られない。同様に、満開日を起点として10日間隔で2回散布すると65、3回散布では69を示しほぼ同等の防除効果が認められ、4回散布では86、5回散布では96を示し、5回以内の散布回数では防除回数が多いほど高い防除効果が得られる(デ-タ省略)。
4.
横~下向きの果実を優先して残す摘果法のみによる防除価は22、チオファネ-トメチル水和剤を本菌に対するナシ果実の感受性の高い時期に約10日間隔で5回散布する方法のみによる防除価は71、これらの方法を組み合わせる防除価は91を示し、摘果と殺菌剤散布を組み合わせることによって高い防除効果が得られる(表1)。
5.
無袋栽培ナシ「幸水」において、満開期から満開45日後頃までの間に防除を要する主要病害は、黒星病、赤星病、輪紋病である。このため、これらの同時防除を考慮した殺菌剤の使用体系を表2の改善区の通り設定すれば、横~下向きの果実を優先して残す摘果法とを組み合わせることにより、実用上の防除効果が得られる(表2)。
成果の活用面・留意点 1.
本成果は、Phomopsis属菌による心腐れ症が多発している無袋栽培のナシ園で適用する。
2.
横~下向きの果実を優先して残す摘果を実施する際に、極端な小玉果を残すと収穫期まで肥大が劣ることがある。
3.
本試験でPhomopsis属菌によるナシ心腐れ症に効果の認められた殺菌剤について早急に農薬登録を行う必要がある。
図表1 219365-1.gif
図表2 219365-2.gif
図表3 219365-3.gif
カテゴリ 病害虫 黒星病 栽培条件 農薬 防除

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