タイトル | イノシシの行動特性を利用した農地侵入防護柵 |
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担当機関 | 島根畜試 |
研究期間 | |
研究担当者 | |
発行年度 | 2002 |
要約 | 既存のイノシシ農地侵入防護柵に対する学習能力と行動学的特性を利用したイノシシ農地侵入防護柵の開発および野外実証試験を行い、イノシシの侵入防止効果を確認した。開発した防護柵は、イノシシの被害防止にきわめて有効である。 |
キーワード | イノシシ、野生鳥獣害、被害対策、農地侵入防護柵 |
背景・ねらい | 近年、島根県におけるイノシシによる農作物被害は甚大で、狩猟及び有害鳥獣駆除で年間1万頭のイノシシが捕獲されているにもかかわらず、水稲を中心に1億数千万円の被害が発生している。 イノシシによる農作物被害を防止するためには、イノシシの生態、行動学的特性を究明し、既存の農地侵入防護柵に対する学習効果を検討する必要がある。 そこで、野生イノシシを飼育し、学習能力の調査、分析を行い、効果の高い農地侵入防護柵を開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 既存侵入防護柵に対するイノシシの反応、慣れの行動調査を実施した結果、イノシシは先の見えない障害物に対しては、執拗な安全確認のうえ飛び越え、くぐり抜けなどの克服行動を示し、先の見える障害物に対しては、押したり引いたりして壊すか、咬みきって通り抜ける行動特性を示す。電牧柵は電気刺激効果は高いが、イノシシに電気刺激効果があるのは鼻鏡のみであり、この部分が電牧線に接触しなければ、通過が容易である。 2. イノシシの行動特性に基づいた遮蔽物と電牧線を組み合わせた侵入防護柵を開発した。 このイノシシ侵入防護柵は、遮蔽物としてプラスチック製の畦波板(高さ300mm)を用い、3m間隔で打ち込んだ支柱により固定し、その支柱に地上20cmと45cmに電牧線を張り巡らせ通電した(図1)。 3. 防護柵の支柱(写真1)について、木製とグラスファイバー製の両者を比較した結果、設置作業効率、設置時の破損等の面からグラスファイバー製が優れた。 4. 開発したイノシシ侵入防護柵の野外実証試験を実施した結果、農地へのイノシシの侵入は全くみられず、高い侵入防止効果を確認した(表1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 本防護柵は、遮蔽物として畦波板を用いるが、夏季の直射日光により伸長し倒れる場合がある。この場合は予備支柱を設置することにより、正常の位置に回復できるので、定期的な巡視が必要である。 2. 設置場所の凹凸により支柱の間隔を変え、畦畔と畦波板との間に隙間ができないように設置する。 3. 除草作業は、防護柵を支柱ごと引き抜いての作業が可能で、終了後は、元の位置に支柱ごと打ち込んでおく。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 除草 水稲 鳥獣害 防護柵 |