タイトル | 携帯型光センサーのウンシュウミカン果実糖度の測定能力 |
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担当機関 | 和歌山県農林水総技セ果樹試験場 |
研究期間 | 2001~2005 |
研究担当者 |
宮本久美 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 市販の携帯型光センサーは、早生ウンシュウの収穫前2ヶ月頃から果実糖度の非破壊測定が可能であり、専用黒色フードで太陽光を遮光すれば樹上果実でも精度良く測定できる。付属の小型バッテリー利用により、収穫前の糖度診断や糖度推移調査を圃場で迅速に実施できる。 |
背景・ねらい | 市販されている携帯型光センサー(シリコンセンサー使用)をウンシュウミカン樹の迅速診断機器の一つとして活用するため、同装置の果実糖度測定能力を明らかにするとともに、野外での樹上果実測定への利用例を示す。 |
成果の内容・特徴 | 1. 携帯型光センサー(K社製)は、成熟果実の室内オート測定で予測誤差の標準偏差(SEP)が0.365~0.561度であり、多様な果実に対して高い測定精度を持つ(図1)。本装置は光照射直下部の糖度を測定しているため、果実の平均糖度を求めるには赤道部の対角2ケ所を測定する。 2. 本装置は、宮川早生の場合、収穫2ヶ月前の未熟~過熟果実でも高い測定精度を示し、本装置に標準装備されている検量線は信頼できる(図2)。しかし、2002年11月24日の例にみられるように果皮の二次肥大が著しいサンプルでは測定精度が低下する。 3. 本装置によるウンシュウミカンオート測定では、標準信号蓄積時間が350msで、果実からの信号強度に応じて200msの短縮、又は延長が自動判断され幅広い果実形質に対応できるようになっているが、果皮の薄い小果実や、逆に果皮の厚い大きな果実の信号強度は適正範囲を超えている。このような場合には、パソコン接続によるマニュアル設定で果実形状に合った適正な信号蓄積時間を検討して測定条件を変更する。 4. 野外では、専用黒色フードで太陽光を遮光して測定しなければならない。 5. 収穫2ケ月前~過熟期のいずれの時期でも、本装置の樹上果実測定により収穫時の果実糖度を予測することができる(図3)。ただし、未熟果実(2002年9月20日)や果皮が二次肥大した過熟果実(同年11月24日)では、予測精度が低くなる。 6. 本装置のオート測定で樹上の同一果実を追跡すれば、樹による糖の蓄積パターンや蓄積量の違いを診断することができる(図4)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 果実からの拡散反射光量は果皮の厚さや果実の大小などによって大きく変動するため、異常な値や測定不能が頻発する場合には、本装置に接続したパソコンを介したマニュアル測定により適正な信号蓄積時間を検討する必要がある。これを新しい検量線として登録すれば、オート測定が可能になる。 2. 非破壊・迅速に多数の果実を測定できるのが本装置の利点であり、たまに出てくる異常な測定値や測定不能な果実を除外すれば実用上問題はない。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
カテゴリ | 温州みかん |