タイトル | 澱粉源の先行給与によるルーメン内窒素利用効率の改善 |
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担当機関 | 兵庫農総セ |
研究期間 | 2001~2005 |
研究担当者 |
生田 健太郎 小鴨 睦 高田 修 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 分離給与において濃厚飼料を澱粉源から蛋白源の順に給与するとルーメン内での急激なアンモニア態窒素の発生が抑制され、その排泄過程で生じる血中および乳中尿素窒素濃度が低下する。 |
背景・ねらい | ルーメン内での窒素(N)利用効率改善によるN排泄量低減の可能性を探るため、分離給与での濃厚飼料多回給与を想定し、蛋白源と澱粉源の給与順序がルーメン内および体内N動態に及ぼす影響を検討する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 泌乳中期のルーメンフィステル装着牛3頭(乳量約25kg/日)を供試し、予備期12日と体 液の経時採材を行う本試験期2日を1期とする飼養試験をラテン方格法で実施する。 2. 粗飼料とミネラル類は定量給与し、濃厚飼料は蛋白源(大豆粕とアルファルファ乾草)と澱粉源(圧片トウモロコシ)の原物割合を一定にして、日本飼養標準養分要求量を充足するよう乳量に応じて給与量を変化させる(表1)。 飼料は8:30と16:00から、毎回、粗飼料と最初の濃厚飼料(飼料1)を給与し、その90分後に2回目の濃厚飼料(飼料2)を給与する。試験区は濃厚飼料の給与順序によって設定し、P区は蛋白源から澱粉源の順に、S区は澱粉源から蛋白源の順に、M区は澱粉源と蛋白源を混合し、2等分して給与する(表1)。 3. 体液(ルーメン液、血液、乳汁)を朝の給与前、飼料1給与後1時間、飼料2給与後は1時間間隔で8回、計10回、経時的に採材する。なお、本試験期中の夕方の飼料給与は採材終了後とする。 4. 各試験期間中における飼料摂取状況と泌乳成績に、試験区間の有意差はない(表2)。 5. ルーメン液のアンモニア態窒素(NH3N)濃度は、P区とM区で飼料1給与後急上昇し、飼料1および飼料2給与の1時間後にS区との間に有意差が認められる(図1)。 6. 血中尿素窒素(BUN)の変動はルーメン液のNH3Nの変動を反映し、濃度は常にS区<P区<M区の順に高く、飼料2給与の2~4時間後の間にS区がM区に対し有意な低値を示す(図2)。また、乳中尿素窒素もBUNより2時間程度遅れて変動するが各試験区の濃度とその順位はほぼ同じで、飼料2給与の2~5時間後の間にS区がM区に対し有意な低値を示す(図略)。 7. 濃厚飼料を澱粉源から給与することによって、ルーメン内での急激なNH3Nの発生が防止され、余剰NH3Nの排泄過程で生じる尿素窒素濃度が低く抑えられることから、澱粉源の先行給与によって、N排泄量を低減できる可能性が示唆される。 |
成果の活用面・留意点 | 蛋白源や澱粉源として用いる飼料のルーメン内における分解速度を考慮し、給与間隔を適宜調整する必要がある。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
カテゴリ | アルファルファ 大豆粕 とうもろこし |