過剰排卵処理牛の血中ホルモン動態把握による胚採取成績の解析

タイトル 過剰排卵処理牛の血中ホルモン動態把握による胚採取成績の解析
担当機関 島根畜試
研究期間
研究担当者
発行年度 2002
要約 過剰排卵処理反応が良好な牛では、処理後にプロジェステロン濃度の低下とエストラジオール-17β濃度の上昇、および黄体形成ホルモン濃度の一過性上昇が認められる。低反応牛ではこのような傾向は認められない。
背景・ねらい 牛の胚移植技術では、供胚牛からの効率的かつ安定的な胚採取が重要である。しかし実際には、過剰排卵処理への反応は個体によって大きな差が生じる。そこで、胚採取成績と併せて、過剰排卵処理牛の血中ホルモン動態を時間分解蛍光免疫測定(TR-FIA)によって調べ、反応に影響を及ぼす要因を解析できるか否かを検討する。
成果の内容・特徴 1.
過剰排卵処理は黄体日齢9~14日目の黒毛和種経産牛12頭を用い、卵胞刺激ホルモン(FSH)製剤は3日間漸減投与する。プロスタグランジンF2α類縁体(PG)は処理開始48時間後に投与する。子宮還流は人工授精後7日目に行う。
2.
供試牛は過剰排卵処理反応によって反応良好群(回収胚および卵子数12~49個:n=9)と低反応群(同0~1個:n=3)に区分する。
3.
反応良好群におけるプロジェステロン濃度(P4)はPG投与後急激に低下し、投与32時間以後は1ng/mL以下で推移する(図1-(a))。エストラジオール-17β濃度(E2)は、PG投与32~48時間後に43.1~205.4pg/mLに上昇する(図2-(b))。黄体形成ホルモン濃度(LH)は、PG投与34~44時間後に一過性の上昇(サージ)(8.4~18.3ng/mL)が認められる(図3-(a))。
4.
低反応群におけるP4動態は反応良好群と同様である(図1-(b))。E2はPG投与62時間後まで5.8~30.5pg/mLで推移し、明瞭な上昇が認められない(図2-(b))。LHはサージの遅延または消失が認められる(図3-(b))。
5.
血中ホルモン動態の解析から、過剰排卵処理への反応が低くなる要因として、顆粒層細胞におけるFSH受容体の障害が考えられる。
成果の活用面・留意点 1.
TR-FIA装置によって、各種ホルモン測定がRIAと同程度の感度、精度で実施できる。
2.
過剰排卵処理牛の血中ホルモン動態把握は、反応に影響を及ぼす要因の解析を可能にし、効率的な胚採取の検討に有効である。
3.
血中ホルモン動態をさらに詳細に解析するためには、その他のホルモン値の測定も必要である。
図表1 219522-1.gif
図表2 219522-2.gif
図表3 219522-3.gif
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