小麦「農林61号」の被覆尿素入り複合肥料を用いた全量基肥施肥技術

タイトル 小麦「農林61号」の被覆尿素入り複合肥料を用いた全量基肥施肥技術
担当機関 環境部
研究期間 2000~2003
研究担当者 北浦裕之
小久保信義
鳥塚 智
吉岡ゆう
忠谷浩司
発行年度 2003
要約 小麦「農林61号」において、速効性化成肥料と、リニア型30日タイプおよびシグモイド型40日タイプの被覆尿素肥料を配合した複合肥料を用いた全量基肥施肥技術は、慣行施肥体系と同等の収量が可能で、子実蛋白含量は慣行施肥体系よりやや高くなる。
キーワード 小麦、農林61号、被覆尿素入り複合肥料、全量基肥、コムギ
背景・ねらい 本県の小麦栽培では、子実蛋白含量の向上のため、4月中旬から5月上旬にかけて実肥を施用しているが、水稲の春作業と労力が競合し、省力的な施肥技術の導入が求められている。このことから、全量基肥用の被覆尿素入り複合肥料が市販され、一部地域で利用されているものの、生育後期の肥料からのN溶出が少なく、慣行施肥体系に比べて収量は不安定で、子実蛋白含量は低い事例が多い。
そこで、本県の主要品種である「農林61号」を用いて、リニア型とシグモイド型の被覆尿素肥料を活用することにより、慣行施肥体系並の収量が可能で、子実蛋白含量の向上が可能な全量基肥施肥技術を開発する。
成果の内容・特徴
  1. リニア型30日タイプのN溶出率は、慣行施肥体系における穂肥時期に該当する3月上旬積算地温約900℃・日)までに約50%に達し、成熟期(積算地温約2300℃・日)には約90%となる。また、シグモイド型40日タイプは、穂肥時期から溶出を開始し、成熟期のN溶出率は約80%となる。なお、両肥料とも、低温期の畑状態においても積算地温に連動して安定したN溶出パターンを示す(図1)。
  2. 速効性化成肥料とリニア型30日タイプの被覆尿素肥料を、4:6のN割合で配合した場合、穂肥時期以降のN溶出量は、慣行施肥体系に比べて少なくなり、出穂期以降の小麦のN吸収量も少なくなる(図2、図3)。
  3. 速効性化成肥料に配合する被覆尿素肥料をリニア型30日タイプとシグモイド型40日タイプとした場合、穂肥時期のN溶出量は慣行施肥体系に比べて少ないが、それ以降の期間N溶出量は慣行施肥体系に比べ多くなり、出穂期以降の小麦のN吸収量も慣行施肥体系と同等~やや多くなる(図2、図3)。
  4. 収量は、速効性化成肥料にリニア型30日タイプとシグモイド型40日タイプを4:3:3のN割合で配合することにより、慣行施肥体系並を確保でき、子実蛋白含量は慣行施肥体系に比べて向上する(表1)。

成果の活用面・留意点
  1. 適正な排水対策を施した中粗粒グライ土の水田輪換畑における11月上旬播種、4月中~下旬に出穂期となる小麦「農林61号」を対象とする。
  2. 極端な子実蛋白含量の増加は、子実や粉の色調を低下させる危険性があるため、蛋白含量の目標値を9%台とし、施肥量は慣行施肥体系の施肥窒素量を上限とする。

図表1 219584-1.jpg
図表2 219584-2.jpg
図表3 219584-3.jpg
図表4 219584-4.jpg
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カテゴリ 肥料 小麦 水田 水稲 施肥 播種 春作 品種

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