タイトル |
主要麦類品種種子の収穫後経過期間別の発芽率調査法 |
担当機関 |
香川農試 |
研究期間 |
2001~2003 |
研究担当者 |
宮下武則
三木 洋
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発行年度 |
2003 |
要約 |
収穫後早い時期に麦類種子の発芽率調査を行うには、休眠が深い場合(収穫後1ヶ月未満の「イチバンボシ」)は1%過酸化水素水処理、休眠が浅い場合(収穫後1ヶ月未満の「さぬきの夢2000」など)は5℃低温湿潤処理により、休眠を打破する。
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キーワード |
麦類種子、発芽率調査、休眠打破、低温湿潤処理、過酸化水素水、ムギ
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背景・ねらい |
麦類種子は所定の発芽率を持つことが求められ、収穫後早期に発芽率を調査する必要がある。しかし、収穫後間もない時期の種子は休眠性があるため、発芽率調査を行う前に休眠の影響を排除しておかなければならない。休眠打破法としては、低温湿潤処理、ジベレリン処理、過酸化水素水処理などが行われているが、種子の休眠の深さによっては、効果が不十分であったり、処理により芽と根の伸長抑制が発生する場合がある。そこで香川県の主要品種を対象に収穫後経過期間別の適正な発芽率調査法を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 休眠打破処理、発芽試験ともに、ろ紙2枚を敷いた直径9cmのシャーレに種子を100粒入れ、全暗条件下に置く。処理は品種と収穫後経過期間によって下記2~4の3種類に分けて行う(図1)。
- 収穫後1ヶ月以内の「イチバンボシ」は休眠が深いので、1%過酸化水素水をシャーレ内に満たし、20℃で24時間保持する(過酸化水素水処理)。24時間経過後、過酸化水素水を捨て、蒸留水で1~2回洗浄し、軽く水を切ってから発芽試験に供する。
- 収穫後1ヶ月未満の「さぬきの夢2000」、収穫後1~2ヶ月の「イチバンボシ」及び収穫後2ヶ月未満の「マンテンボシ」と「チクゴイズミ」は、休眠が深くないため過酸化水素水処理を行うと芽や根の伸長が阻害される。したがって、蒸留水を1シャーレ当たり8ml入れ、5℃で24時間保持する(低温湿潤処理)。24時間経過後、そのまま発芽試験に供する。
- 収穫後1ヶ月以降の「さぬきの夢2000」と収穫後2ヶ月以降の「イチバンボシ」、「マンテンボシ」及び「チクゴイズミ」は休眠が覚めているので、蒸留水を1シャーレ当たり8ml入れ、そのまま発芽試験に供する。
- 発芽試験は、20℃で7日間保持し、途中でろ紙が乾燥してきた場合は蒸留水を加えて湿り気を保つ。7日後に芽と根の双方が確実に伸長したもの(概ね5mm)を発芽粒とみなす。
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成果の活用面・留意点 |
- 裸麦「イチバンボシ」「マンテンボシ」及び小麦「さぬきの夢2000」「チクゴイズミ」の収穫後早期の発芽率調査に活用できる。
- 原則として収穫乾燥後常温で貯蔵された種子を対象とする。
- 反復は2シャーレ以上とする。1シャーレに50粒を入れ、反復を増やしてもよいが、その場合は加える蒸留水を7ml程度に減らす。
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図表1 |
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カテゴリ |
乾燥
小麦
品種
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