タイトル |
殺虫剤の花房散布によるトマト果実の白ぶくれ症状抑制 |
担当機関 |
土壌水質保全チーム |
研究期間 |
2001~2003 |
研究担当者 |
井村岳男
西川 学
福井俊男
松村美小夜
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発行年度 |
2003 |
要約 |
トマトの着果、果実肥大を目的としたホルモン剤の花房散布をおこなう際に、スピノサド等の殺虫剤を常用濃度で混用することによって、アザミウマ類の加害による白ぶくれ症状を予防できる。
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キーワード |
トマト、白ぶくれ症状、花房散布、アザミウマ類
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背景・ねらい |
トマト栽培ではミカンキイロアザミウマとヒラズハナアザミウマの加害による果実の白ぶくれ症状が問題となっている。白ぶくれ症状は開花期のアザミウマの加害によって発生するため、殺虫剤の全面散布による防除をおこなう場合、長期に渡る開花期に繰り返し防除をおこなう必要があり、生産者の経済的、肉体的負担が大きい。そこで、トマト栽培で慣行の管理作業として実施されている開花期のホルモン剤の花房散布をおこなう際に、殺虫剤を混用することによって、省力的かつ経済的な白ぶくれ症状抑制技術を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 1~5段花房の開花期に、スピノサド水和剤5000倍を混用したホルモン剤(4-CPA 剤100倍)を3~4日間隔で花房散布することによって、スピノサドの全面散布1回と同程度にアザミウマ類の発生を抑えることが出来る(図1)。また、白ぶくれ果率を全面散布よりもさらに低下させることができる(図2)。
- 殺虫剤の散布量は、全面散布1回で株当たり220mlに対し、1~3段までの花房散布総量は株当たり2.7mlと1/100程度に減少する。
- 果実への残留濃度は、全面散布の1段果房に低い濃度のスピノシンAが検出された以外はすべて検出限界以下であり、花房散布の方が少ない(表1)。
- 7種殺虫剤を常用濃度で混用して散布した花房にミカンキイロアザミウマ成虫を接種したところ、トルフェンピラド、スピノサドでは白ぶくれ症状は発生せず、アセフェート、アクリナトリン、クロルフェナピルでもある程度白ぶくれ症状を抑制するが、マラソン、アセタミプリドは無処理とほとんど差がない(表2)。
- 以上の結果から、開花期のホルモン処理時にスピノサド、トルフェンピラド、アセフェート、アクリナトリン、クロルフェナピルをアザミウマの種類や発生量に応じてローテーションしながら混用することで、防除経費や労力を減少させ、かつ収穫物の安全性を高めながら白ぶくれ症状を予防することができる。
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成果の活用面・留意点 |
- 4-CPA剤の使用について、他農薬との混用は使用方法として認められていないので、試験研究以外には使えない。
- 平成16年3月現在で、トルフェンピラド、アクリナトリン、クロルフェナピルはミカンキイロアザミウマに対する登録となっており、アセフェートはアザミウマ類には登録がない。
- 茎葉に寄生するアザミウマには効果がないので、TSWV常発地では使用が難しい。
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図表1 |
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カテゴリ |
病害虫
くり
トマト
農薬
ヒラズハナアザミウマ
防除
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