スイートピー新品種「紀州ピー2号」及び「スイートルージュ」の育成

タイトル スイートピー新品種「紀州ピー2号」及び「スイートルージュ」の育成
担当機関 和歌山県農林水産総合技術センター
研究期間 1994~2003
研究担当者 花田裕美
発行年度 2003
要約 冬咲き性の白色品種に冬咲き性の鮭桃色や濃赤色品種の交雑を行った。その後代集団から選抜、固定を行い、淡いサーモンピンクの「紀州ピー2号」と赤と淡ピンク色の複色「スイートルージュ」を育成し、品種登録した。
キーワード スイートピー、交雑育種、新品種、冬咲き、複色、品種登録
背景・ねらい スイートピーの品種は、新たに発表されるものが少なく、現場からは、新品種に対する要望が高い。また、スイートピーは春のイメージを持つため、消費者からは淡い色合いの品種の人気が高い。そこで、現在、栽培されている品種と異なる色合いをもつ品種の育成を目的とした。
成果の内容・特徴 [育成経過]
「紀州ピー2号」は冬咲き性で白色の「アーリー・ホワイト」を種子親、冬咲き性で鮭桃色の「ミセス・ダグラス・マッカーサー」(以下「マッカーサー」)を花粉親とし、「スイートルージュ」は「アーリー・ホワイト」を種子親、冬咲き性で濃赤色の「アメリカン・ビューティー」を花粉親とし、1995年4月に交雑を行った。これらのF2集団から冬咲き性で「マッカーサー」より淡い鮭桃色の個体と冬咲き性で旗弁と翼弁の色の異なる複色の個体を1997年2月に選抜した。自家採種と系統選抜を繰り返し、「キャンドル・ピンク」、「スイートルージュ」として2003年3月に品種登録の申請を行い、受理された。しかし、「キャンドル・ピンク」は農林水産省からの指摘により、8月「紀州ピー2号」と名称変更を行った。また、「スイートルージュ」は8月に出願公表された。
[開花特性]
  1. 紀州ピー2号」の花色は、「マッカーサー」より淡い色合いであり、「スイートルージュ」は旗弁と翼弁の色が異なる複色である(表1)。
  2. 無冷蔵の場合、「紀州ピー2号」と「マッカーサー」の収穫開始日は同時期であるが、「スイートルージュ」は約1か月遅い(表1)。
  3. 「紀州ピー2号」の初収穫節位は29.4節と低節位であるが、「スイートルージュ」は50.8節と高節位である(表1)。
  4. 切り花長、着花輪数、収穫本数は、「紀州ピー2号」、「スイートルージュ」共に「マッカーサー」と同程度である(表1)。
  5. 「スイートルージュ」の切り花長では、無冷蔵区は43.4cm、30日区は33.1cmと長期間の種子冷蔵期間で花柄長は短くなる(表3)。
  6. 「スイートルージュ」の初収穫日では、種子冷蔵30日区は12月16日、無冷蔵区は2月28日であり、冷蔵により70日以上の開花促進が認められるが、「紀州ピー2号」では、30日区は12月11日、無冷蔵区は12月30日と20日程度の促進となる(表2、3)。

成果の活用面・留意点
  1. 年内に収穫を行うため、「紀州ピー2号」では15日間程度、「スイートルージュ」では20日間程度の種子冷蔵が必要である(表2,3)。

図表1 219676-1.jpg
図表2 219676-2.jpg
図表3 219676-3.jpg
カテゴリ 育種 自家採種 新品種 品種

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