タイトル |
廃棄バナナを利用した発酵TMRに適合した乳酸菌スターターの選定 |
担当機関 |
林原生物化学研究所 |
研究期間 |
2002~2003 |
研究担当者 |
西村和彦
藤田忠久
文屋秀雄
定清 剛
池畑昌和
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発行年度 |
2003 |
要約 |
青果物輸入倉庫会社等から廃棄されるバナナを育成牛の飼料として発酵TMRを調製する時、添加する乳酸菌としてL.plantarumが最適である。
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キーワード |
乳酸菌、食品廃棄物、サイレージ、TMR、スターター
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背景・ねらい |
大阪府は生鮮食料品の大消費地で海外から輸入され、検疫後、熟成処理された段階で軟らかくなったバナナが流通に乗らず、75トン/月廃棄されている。そこで、廃棄バナナのサイレージ化による有効利用を進めるため、廃棄バナナを混合した発酵TMRに適合する乳酸菌スターターを選定する。
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成果の内容・特徴 |
- 廃棄バナナの一般分析結果から、廃棄バナナは含水率が高く、乾物中では可溶性無窒物が高い(表1)。
- 廃棄バナナを他の飼料と表2に示す混合割合でコンプリートフィーダーに入れて撹拌し、混合できた飼料1.5㎏ずつを袋に詰め、Lactobacillus
plantrum(Lp),Enterococcus faecium(Ef),Lactobacillus acidophilus(La),これらの3種混合菌(Lp:Ef:La=4:4:2)を24時間牛乳等で嫌気培養して作ったスターターを添加し、脱気・密封・保存する。夏、春秋、冬をそれぞれ想定した35℃、22.5℃、10℃で20日間保存後、有機酸組成を調べると、L.pを添加したTMRの乳酸が多く、酢酸が少ない。したがって、フリーク法による評価で廃棄バナナの発酵TMRの調製用スターターとしてL.pが最適である(図1)。
- 上記の発酵TMRを乳用育成牛にそれぞれ乾物量で1kgずつ給与して、経時的に採食量を調べると、Efを添加して35℃保存した発酵TMRと3種混合菌を添加して22.5℃で保存したものを除くすべての発酵TMRが15分以内に摂取され、濃厚飼料の採食状況と変わらず良好である。
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成果の活用面・留意点 |
- 廃棄バナナを飼料として用いる場合、カビの生えたものや腐敗したものは飼料として利用しない。
- 廃棄バナナは回収直後に混合して、ビニール袋などに詰めて嫌気状態を保つことによって、1か月前後保存後乳用育成牛に給与できる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
バナナ
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