種雄牛候補牛からの体細胞クローン牛生産手法

タイトル 種雄牛候補牛からの体細胞クローン牛生産手法
担当機関 島根畜試
研究期間 1998~2003
研究担当者 安部亜津子
高仁敏光
佐々木恵美
長谷川清寿
発行年度 2003
要約 黒毛和種種雄牛検定候補に一次選抜された雄子牛由来の耳真皮組織片から体細胞を分離培養し、1回の継代培養後にドナー細胞として用いた場合、発生した核移植胚からクローン牛が生産できる。
キーワード 体細胞核移植、肉用牛、クローン検定、耳真皮組織片、継代培養
背景・ねらい 近年、体細胞クローン技術を種雄牛造成に応用できる可能性がでてきた。本県においては、育種価情報等から選定した黒毛和種雌牛から過排卵処理-胚移植技術で雄子牛を生産することで、継続的に種雄牛造成を試みている。検定精度の向上のためのクローン検定(模擬本牛検定)が可能になれば、さらに効率化できると思われる。ただし、体細胞を採取する時期とその継代回数の最適化が必要である。そこで、既に一次選抜を経た雄子牛(5か月齢)から体細胞を採取するとともに最小限の継代培養で核移植に供試して、検定用クローン牛を生産する手法を検討する。
成果の内容・特徴
  1. 体細胞細胞の継代回数の影響調査には、と殺成雄牛の耳から採取した真皮組織片の真皮部分を細切して、10%ウシ胎子血清(FBS)を添加したD-MEM(Sigma)内で分離培養した体細胞を用いる(図1)。その体細胞は、未継代または5あるいは10回継代後に凍結保存し、融解した後10%FBS加D-MEM内で3日間、さらに0.5%FBS加D-MEM内で5日間培養し、核移植前に0.5%FBS加PBS(-)中に浮遊させてドナー細胞(継代1回:p1、6回:p6、11回:p11)とする。
  2. 各継代回数別に核移植した場合、移植可能胚が発生する。発生率はそれぞれ47.6%(10/21)、36.2%(37/102)および26.9%(14/52)である(表1)。
  3. 種雄牛候補に一次選抜された雄子牛2頭から耳刻器で採取した真皮組織片から分離培養した細胞(p1)を核移植のドナーとして用いた結果、移植可能胚への発生率は60.7%(51/84)、交雑種受胚牛への新鮮移植による胎齢40日時点での生存胎子率は35%(7/20)であり(表2)、生産頭数は2頭(生時体重:52.8および44.4kg)である(図2)。

成果の活用面・留意点
  1. 耳の皮膚組織片からの体細胞の分離培養は1~2週間を要し、分離した体細胞は1回の継代培養で核移植に利用可能である。
  2. 産子生産に用いる受胚牛は、種雄牛候補由来の核移植胚の移植ということを考慮し、比較的体格の大きい経産牛を用いることが望ましい。

図表1 219747-1.jpg
図表2 219747-2.jpg
図表3 219747-3.jpg
図表4 219747-4.jpg
カテゴリ 育種 過排卵 肉牛

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