複合交信かく乱剤の連年処理によるナシ殺虫剤使用回数の削減

タイトル 複合交信かく乱剤の連年処理によるナシ殺虫剤使用回数の削減
担当機関 愛媛果樹試
研究期間 2000~2003
研究担当者 金﨑秀司
松田透(愛媛農業経営課)
大政義久(愛媛果樹試)
発行年度 2004
要約 ナシ栽培園において、複合交信かく乱剤を広域に連年処理することにより、処理しない園に比べ、殺虫剤使用回数を削減することができる。
キーワード ナシ、殺虫剤削減、複合交信かく乱剤、ナシヒメシンクイ、現地実証
背景・ねらい ナシ栽培では、ナシヒメシンクイを中心とした鱗翅目害虫の被害が問題となり、これまで殺虫剤散布が主として行われてきた。近年、これら鱗翅目害虫に対し防除効果が高く、環境への影響も少ない複合交信かく乱剤が登録になり、普及しつつある。そこで、ナシ栽培園において、この複合交信かく乱剤の連年処理と殺虫剤の体系化による現地実証を行い、効果や問題点を把握する。
成果の内容・特徴
  1. 集団観光ナシ(幸水・豊水の混植)園(無袋で9mm目合いのネット栽培)5.4ha内に、2000~2002年はコンフューザーPを180本/10a、2003年はコンフューザーNを200本/10a、それぞれ処理し(以下これを処理区とする)、その地区から直線距離で約1km離れた0.7haのナシ園(以下これを無処理区とする)とモニタリングトラップによる誘殺数や被害果の発生状況を比較する。
  2. 処理区のナシヒメシンクイ誘殺数が、複合交信かく乱剤導入4年目の剤を設置する前の時点で、無処理区の17頭に対し0頭となり、交信かく乱剤の導入による密度低下の効果がみられる(表1)。
  3. 処理区において、同剤導入4年目には、無処理区より殺虫剤を2回削減しても、ナシヒメシンクイによる被害果の発生がみられなくなる。ただし、この複合交信かく乱剤の対象外の種であるモモノゴマダラノメイガの被害果の発生がみられる(表2)。
  4. 同剤導入前の1999年と導入4年目の2003年を比較すると殺虫剤の散布が1/2に削減され、被害果の発生もみられていない。ただし、カメムシ類多発年での検討がなされていない(表3)。
  5. 以上の結果を踏まえ、表4のようなモデル防除体系を考案する。
  6. このモデル防除体系での10a当たりの農薬費(愛媛県農薬標準小売価格を基に算出)は、散布量を250リットル/10aとした場合14,206円となり、慣行防除(2004年愛媛たいき農協栽培指針より)での13,978円に比べ、228円割高となる(データ割愛)。

成果の活用面・留意点
  1. 複合交信かく乱剤は、広域に(5ha以上が望ましい)連年処理(少なくとも3年)するほど効果が安定する。
  2. 6月後半に、複合交信かく乱剤の対象外の種であるモモノゴマダラノメイガの発生がみられる場合があるため、その対応を6月上旬に実施する。
  3. カメムシ類が多発した場合は、応急防除で対応する必要がある。

図表1 219845-1.jpg
図表2 219845-2.jpg
図表3 219845-3.jpg
図表4 219845-4.jpg
カテゴリ 病害虫 害虫 カメムシ 農薬 防除 モニタリング

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