タイトル |
密植・2本主枝によるニホンナシ「おさ二十世紀」の省力・多収・高収益栽培 |
担当機関 |
兵庫農総セ |
研究期間 |
1999~2003 |
研究担当者 |
松浦克彦
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発行年度 |
2004 |
要約 |
密植・2本主枝栽培により早期成園化が図れるとともに、従来の栽培法と比べ高収量で、省力化が可能である。さらに密植・2本主枝栽培での累積収益は植栽5年目で黒字となり、植栽12年目には慣行栽培の約3.9倍(約1006万円/10a)と高収益が得られる。
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キーワード |
高収益、省力、早期成園化、多収、ニホンナシ「おさ二十世紀」
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背景・ねらい |
近年、「二十世紀」梨産地では樹の老木化が進み、黒斑病抵抗性・自家結実性品種の「おさゴールド」への改植が望まれている。しかしながら、生産者の高齢化や改植に伴う一時的減収などから実際にはあまり進んでいない。 そこで、せん定が容易で、早期成園化が可能である密植・2本主枝栽培により、省力・多収・高品質果の生産技術を開発し、収益性を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 密植・2本主枝栽培(以下、密植栽培区)では、「おさ二十世紀」を当初1.5m×4.5m(間伐後1.5m×9.0m)で植え付け、2本主枝とし、亜主枝を置かずに側枝(間隔:約50cm)を直接配置する。慣行栽培区は当初4.5m×4.5m(間伐後6.4m×6.4m)で植え付ける。満開30~40日後に、ジベレリンぺーストを果梗に塗布する(図1)。
- 密植栽培区は慣行栽培区よりも植栽本数が多いことから、植栽直後から慣行栽培区に比べ約2倍の多収となる。間伐後でも密植栽培区は慣行栽培区の約1.5倍の収量がある(図2)。
- 植栽10~12年目の3カ年平均では、密植栽培区の果重は慣行栽培区よりも19g程度大きい。果汁糖度では密植栽培区は慣行栽培区と同程度である(表1)。
- 2本主枝により樹形を単純化することで、小袋掛け、大袋掛け作業における作業能率の向上が可能である。摘果から大袋掛けまでの全作業では、密植栽培区の1果当たりの所要時間は慣行栽培区と比べ約13%短縮される(データ略)。
- 植栽後年次毎の収益試算(単純収支計算)によれば、密植栽培区での累積収益額は植栽5年目には黒字となる。さらに植栽12年目の累積収益額は慣行栽培区の約3.9倍(約1006万円/10a)となり、かなりの高収益である(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 平坦~緩傾斜の園地に活用できる。「おさ二十世紀」と樹勢が比較的近い「おさゴールド」への利用が期待できる。
- 主枝分岐部付近の側枝が特に強くなる傾向があるので、まち枝等を利用し勢力を抑えるとともに、太い側枝については順次更新する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
改植
省力化
早期成園化
抵抗性
品種
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