早期成園化と管理作業の省力化に適したブドウの独立型トンネル栽培

タイトル 早期成園化と管理作業の省力化に適したブドウの独立型トンネル栽培
担当機関 香川農試府中分場
研究期間 1998~2004
研究担当者 山下泰生
坂下亨
福田哲生
発行年度 2004
要約 ブドウのトンネル栽培において、トンネル毎に独立した棚施設を開発した。この施設に一文字型整枝で密植された「ピオーネ」は、植栽4年目で成園化し、慣行の平棚トンネル栽培に比べて早期成園化が可能となる。また、この栽培法による管理作業は、慣行の栽培に比べて10a当たり年間総労働時間が約25%削減できる。
キーワード ブドウ、独立型トンネル栽培、早期成園化、省力化
背景・ねらい ブドウのトンネル栽培で慣行的に利用されている平棚は、棚面が閉鎖的であることから、ビニール被覆作業や防除作業等において、省力化が図りにくい。そこで、これら作業の省力化を図るため、1列毎にトンネルが独立した施設を開発するとともに、一文字整枝法を利用した早期成園化が可能な栽培法を確立する。
成果の内容・特徴
  1. トンネル幅は、トンネル下での作業性向上を考慮して1.5mとし、主枝と新梢誘引用の被覆鋼線を二段に配置(下段:高さ160cm、上段:高さ180cm)した鉄管利用による独立型トンネル施設を開発した。トンネル列間隔は、スピードスプレーヤ等の作業機械が走行可能な2.0mとした。この施設の資材費は10a当たり約85万円であり、慣行の平棚トンネル施設の約70万円に比べて高い(図1)。
  2. 独立型トンネル施設に一文字整枝(主枝延長10m)で密植(28本/10a植栽)された(以下、独立トンネル栽培)「ピオーネ」は、主枝延長で植栽4年目に成園化され、慣行栽培(平棚トンネル施設、H字型整枝、主枝延長20m、20本/10a植栽)に比べて早期成園化が可能となる(表1)。
  3. 独立型トンネル栽培の「ピオーネ」の果実品質は、慣行栽培に比べて一粒重が増加する。これに伴い着色は淡く、糖度は低くなる傾向がある(表1)。
  4. 独立型トンネル栽培の「ピオーネ」の収量は、植栽6年目に1.2t/10aに達し、慣行栽培に比べて初期収量は多くなり、植栽6年目までの累積で約1.75t/10aの増収が図られる(表2)。
  5. 一文字整枝法を利用したことでトンネル列間に主幹部等がなくなり、列間は開放的となる。独立型トンネル栽培の主要な管理作業時間は、慣行栽培に比べて収穫を除く作業で短縮化が図られ、10a当たりの年間総労働時間は48時間少なくなり、25%削減できる。特に、トンネル列間でビニールの展開が可能となるトンネル被覆作業と列間をスピードスプレーヤが容易に走行できる防除作業では大幅な時間短縮が図られ、10a当たりのべ作業時間は慣行栽培の約半分に削減できる。また、主枝及び新梢誘引用の鋼線を2段配置したことから、誘引時における新梢の欠損は少なくなり、作業性も向上する(表3)。

成果の活用面・留意点
  1. 1998~2004年の台風等の風害において、施設の損傷は認められない。しかし、平棚トンネル施設と比較した耐風性については不明であることから、当面は風害を受けにくい地域や地形で活用することが望ましい。
  2. 独立型トンネル栽培の「ピオーネ」は、慣行栽培に比べて果粒肥大が優れることから、着色の遅延と糖度の低下が懸念される。このため、果房重や着果量の適正化に努める。

図表1 219905-1.jpg
図表2 219905-2.jpg
図表3 219905-3.jpg
図表4 219905-4.jpg
カテゴリ 病害虫 省力化 早期成園化 ぶどう 防除

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