シートマルチ栽培による「トサブンタン」の高糖度果実生産

タイトル シートマルチ栽培による「トサブンタン」の高糖度果実生産
担当機関 高知農技セ果樹試
研究期間 2000~2003
研究担当者 又川浩司
発行年度 2004
要約 「トサブンタン」の樹冠下の地表全面を8月中旬から11月中旬まで白色透湿性シートで被覆することで、糖度が高く、果皮色が良好な果実を生産できる。
キーワード カンキツ、トサブンタン、シートマルチ、糖度
背景・ねらい 「トサブンタン」は、高知県中央部の土佐市と西部の宿毛市を中心に栽培面積460haの産地を形成し、県内果樹では最大の10,000tの生産量をもつ特産カンキツである。本品種は、隔年結果が少なく豊産性であるが、園地が里山地帯から水田転換園にまで拡大したため、圃場条件の違いにより、糖度等の果実品質に格差が生じている。温州ミカンでは、透湿性シートを用いて効率的に土壌を乾燥させ、樹体を水分不足(水ストレス)の状態にして品質を向上させるシートマルチ栽培が広く普及しているが、「トサブンタン」では実施例がない。
そこで、「トサブンタン」の透湿性シートを用いた糖度向上技術を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 被覆時期は8月中旬とし、土壌が極端に湿ったり、乾燥している時をさけ、樹冠下の地表を白色透湿性シートで全面被覆する。8月中旬に被覆すると、9月中旬頃から樹体に水ストレスがかかり始め、糖度、果皮色が向上する(表1、2)。
  2. シートの除去時期は11月中旬以降とすることで、糖度、果皮色が向上する(表3)。
  3. 3カ年連用による樹勢、果実肥大や収量の低下はみられない(図表略)が、細根の減少が認められる(図1)ので、長期にわたって安定した生産を続けるには、有機物の適正施用で土壌改良に努め、細根発生を促す必要がある。

成果の活用面・留意点
  1. 本試験は、褐色森林土、植壌土の平坦~緩傾斜園地での試験結果であるので、適用場所は、糖度の上がりにくい平坦~緩傾斜地で、シートマルチで遮断した降雨を適正に排水できる圃場とし、大規模に行う場合には、排水路、貯水槽の設置などを行う。
  2. 着果量が極端に少ないと糖度向上の効果が出にくいので、葉果比80程度の適正着果に努める。
  3. 開閉装置を設置した場合、10a当たりの初年度導入経費は、約28万円(シート代12万円、副資材代16万円)となり、年間償却費約5万8千円(シートは3年間使用)である。したがって、反収を4,000kgと仮定すると、kg当たり約15円(H9~14の市場平均単価の約6%)以上の価格上昇を見込む必要がある。

図表1 219907-1.jpg
図表2 219907-2.jpg
図表3 219907-3.jpg
図表4 219907-4.jpg
カテゴリ 温州みかん 乾燥 傾斜地 水田転換園 土壌改良 品種 ぶんたん その他のかんきつ

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