タイトル |
卵用讃岐コーチンによるアスパラガスハウスの除草効果 |
担当機関 |
香川畜試 |
研究期間 |
2003~2004 |
研究担当者 |
安部正雄
笹田布佐子
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発行年度 |
2004 |
要約 |
アスパラガスハウス内に卵用讃岐コーチンの放飼により、ハウス内の雑草は除去され、新芽の損害も軽度なものであり、アスパラガス生育中の除草剤使用を全廃できた。これにより人手による除草作業から開放されるとともに、収穫作業の効率化が図られ、また殺虫剤の使用回数も減少した。
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キーワード |
卵用讃岐コーチン、鶏、除草、アスパラガス
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背景・ねらい |
アスパラガスハウス内では、アスパラガスに直接除草剤が掛かると障害がでることから、株間の除草は人手で行われているが、夏季のハウス内除草作業は作業者にとって過酷である。また、食の安全の問題から除草剤の削減は重要な課題でもある。このことから、強健で温和な卵用讃岐コーチンの特性を活かした除草効果の確認と、除草剤(畝間に散布)の全廃を目的とする。
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成果の内容・特徴 |
アスパラガス(以下「アスパラ」)ハウス(3連棟式・面積約1,000平方m)内に、卵用讃岐コーチン(以下「讃コ」)7羽を、ハウス内の除草目的で放飼(1回目H15.5.23~同12末、2回目H16.4.24~同12末)した。なお、野犬等からの防護のためにハウス周囲に、2段線の電気牧柵と、内張りネットを設置した。
- 除草効果:讃コをアスパラハウス内に放飼した結果、ハウス内の雑草(スギナ、メヒシバ、スベリヒユ、ツユクサ等)はほぼ完全に除草された。(図1)
- 適正羽数:1,000平方m程度のアスパラハウスでは、放飼当初は草量が勝ったが、夏以降の状況を勘案すると、適正羽数は5羽程度で十分と考えられた。
- 食害等 :讃コによるアスパラ新芽の食害は軽度なものであり、特定鶏を排除することにより軽減できたが、細い新芽の踏み倒しは少数ながら継続発生した。
- 除草剤削減:アスパラ生育中の除草剤使用は全廃でき、休養期(2月)1回のみの使用となった。
- 飼養管理:讃コはハウス内に設置した高床式巣箱に、産卵就寝し管理上の問題はなかった。なお、冬期間はケージ飼養とした。
- 必要経費:設置経費として79,740円、維持経費(飼料費)19,000円が必要となったが、収入として毎日の産卵により概算で25,000円の収入があった。(表1)
- 生産量への影響:H15年の生産量は総量でほぼ平年並みであったが、H16年は著しく生産量が減少した。讃コによる除草との関連については今後検討する。(表2)
ア) 除草により草中に埋没していた新芽の誤刈り取りが防止されるとともに、収穫作業の効率化が図られた。 イ) ヨトウムシ等害虫の隠れ場所がなくなり、殺虫剤の効果も高まって防除回数・使用薬剤が減少するとともに、減農薬野菜として評価を受けた。 ウ) 7羽が排出する生鶏糞量は約24kg/月で、施肥効果が期待された。 エ) 産卵開始により新鮮な鶏卵が毎日収穫された。 オ) 讃コ(動物)とのふれあいができて、潤いのある作業となった。
- 卵質比較:放飼鶏と、同日生まれのケージ飼育鶏との卵質を比較した結果、大差は認められなかった。(表3)
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成果の活用面・留意点 |
- 野犬等からの保護ためにハウス周囲の防護施設等に初期投資が大きいことが問題であったが、本法を実際に導入した実践農家では、ハウス外側に鶏小屋を設けて、その間をトンネルで結んで夜は小屋の中で鶏を保護して経費を軽減した。
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讃コが土中のミミズや虫を獲るために畝に穴を掘って、アスパラの根を露出させたり、歩き回ることにより土表面が踏み固められて硬化したが、栽培上は大きな問題とはならなかった。
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讃コ以外を用いて除草試験を行っていないので、他鶏種での応用については検討が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
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