タイトル |
採卵鶏への色落ち海苔給与が卵黄中のヨウ素含量に及ぼす影響 |
担当機関 |
香川畜試 |
研究期間 |
2003~2003 |
研究担当者 |
安部正雄
笹田布佐子
斉藤武司
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発行年度 |
2004 |
要約 |
海苔養殖の収穫時に発生する商品価値の低い色落ち海苔にはヨウ素の含量が多く、採卵鶏用飼料に添加することにより、卵黄中のヨウ素含量が増加傾向となる。
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キーワード |
卵用鶏、色落ち海苔、卵黄中ヨウ素
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背景・ねらい |
海苔は、「海の大豆」と呼ばれるほど栄養価が高く、海苔(あまのり)養殖はハマチ養殖と並んで香川県漁業の基幹産業であるが、収穫終盤になると海水温や栄養等の条件により、色が黄褐色に退色し、商品価値の低い「色落ち海苔」が発生し、漁業関係者を悩ませている。そこで、この色落ち海苔の有効活用と、鶏卵の高付加価値化を目的として、色落ち海苔の成分分析及び採卵鶏への給与試験を実施し、鶏卵への有用成分の移行状況を調査する。
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成果の内容・特徴 |
- 一般に海苔は良質の蛋白質を豊富に含む食品であるが、色落ち海苔の栄養成分分析の結果、色落ち海苔は、通常の干し海苔と比較して、水分、Caは多いが、粗蛋白質、粗脂肪、粗繊維、リンは少なかった。採卵鶏用成鶏飼料と比較しても粗たんぱく質含有量が1/2、粗脂肪含有量が1/20と低い。(表1)
- 海苔はビタミン、ミネラルをも豊富に含む食品であるが、色落ち海苔のビタミン、ミネラルの含有量は、通常の干し海苔に比べ、VA効力は1.4%、VB1は15%、VB2は27%と低量であったが、ヨウ素は2.3倍含まれており、採卵鶏用成鶏飼料と比較しても4倍量含まれている。(表1)
- 色落ち海苔を採卵鶏用成鶏飼料に2%及び4%添加して採卵鶏に給与した結果、4週目の卵黄中のヨウ素含量は、色落ち海苔の添加濃度が高いほど、増加する傾向が見られ、2%添加で対照区の1.2倍、4%添加で1.3倍のヨウ素を含有しており、飼料添加によるヨウ素の卵黄への移行が認められる。(表2)
- 産卵成績、卵質検査成績、体重の推移は、いずれも各区間に有意な差は認められず、色落ち海苔添加による影響は見られない。(表3,4)
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成果の活用面・留意点 |
- 商品価値の低い色落ち海苔を、採卵鶏飼料に添加することで、卵黄中のヨウ素含有量の増加が見込まれ、色落ち海苔の有効活用が図られる可能性が示唆される。
- 海苔は、海水中の養分によって成分が左右される事から、色落ち海苔を給与する場合には、ロット毎の成分分析が望ましい。
- 色落ち海苔のロットの栄養価が低い場合、飼料への添加割合はロット毎の設計が必要となる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
あま
高付加価値
大豆
鶏
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