中山間地域向け小麦新品種の作型成立予測メッシュ図

タイトル 中山間地域向け小麦新品種の作型成立予測メッシュ図
担当機関 近農研
研究期間 2002~2004
研究担当者 米村 健
植山秀紀
発行年度 2004
要約 近畿・中国・四国の中山間地域への小麦新品種導入の事前検討資料として、発育予測モデルと過去20年間のアメダス気温日別値の1kmメッシュ展開値から、凍霜害回避確率7割以上のメッシュにおける生理的成熟期予測日の平均値をメッシュ図で示す。
キーワード コムギ、中山間、DVR、アメダスデータ、1kmメッシュ、適地判定
背景・ねらい 地産地消等の観点から、中山間での小麦栽培に関心が高まっている。適地判定のための事前検討資料があれば、小麦新品種を中山間地域の栽培適地へ導入する推進力となる。そこで、適地判定事前検討資料として「作型成立の確率予測1kmメッシュ図」を作成する。
成果の内容・特徴 1.
対象品種は「ふくさやか」及び「中国143号」である。
2.
生理的成熟期の予測に用いた発育モデルの特徴を下記に、予測精度を表1に示す。
1)
DVR (Developmental rate)を用いている。
2)
VR算出は、広島県平地部、奈良県及び広島県中山間地域での3年間のべ25~30作にわたる栽培試験データを用い、算定プログラムdvr1*により品種ごとに行っている。(*問合先:竹澤邦夫、中央総研・生産支援システム開発チーム)
3)
節間伸長開始期で栽培期間を分け、播種~節間伸長開始期、節間伸長開始期~出穂期、節間伸長開始期~生理的成熟期について、それぞれのDVRを算出している(図1)。
4)
dvr1の算出値は気温出現頻度に依存するため、出現頻度の少ない生育限界温度域では算出値の精度が低下する場合がある。ここでは、気温0℃以下でDVRが植物生理学的知見に反した大きな値となるのを防止するため、発育前期においては、日平均気温-3~-15℃のDVRがほぼ0になるよう、ダミーの発育データを加えてDVRを算出している。
3.
作型成立予測メッシュ図は下記の要領で作成してある。
1)
上記の発育予測モデルを用い、アメダス日別値を1kmメッシュ展開した日平均気温及び日最低気温の下での発育及び凍霜害の有無を推定する。予測節間伸長開始期10日後から50日後に日最低気温-7℃以下に遭遇せず、かつ予測出穂日の7日前から40日後に日最低気温-3℃以下に遭遇しない場合を、「凍霜害回避」と判定する。
2)
1983年秋播から2002年秋播の20作で「凍霜害回避」13作以下と推定したメッシュは「栽培不適地」と判定する。「凍霜害回避」14作以上と推定したメッシュについては予測した生理的成熟期の算術平均値を求める。
3)
10月第2旬から11月第2旬まで、評価結果を旬ごとにメッシュ図化して示す(図2)。
成果の活用面・留意点 1.
予測した生理的成熟期は、子実含水率が約40%の時期である。
2.
生理的成熟期から収穫適期(子実含水率25%)までの期間は、晴天また曇天で気温が高い日が続いた場合で約3日である。降雨があった場合は降水量等に応じ長くなる。
3.
「栽培不適地」だけでなく、生理的成熟期または収穫期が例年の梅雨にかかる場合は、収穫時の降雨により収穫困難または収穫時の品質低下が予想される。
4.
地形が複雑な中山間地域の気候評価に関しては、1kmメッシュではメッシュが荒すぎて評価が不十分な場合がある。
図表1 219969-1.gif
図表2 219969-2.gif
図表3 219969-3.jpg
カテゴリ 小麦 植物生理 新品種 中山間地域 播種 品種

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