無施肥のシバ優占草地放牧牛の栄養状態と血液性状の評価

タイトル 無施肥のシバ優占草地放牧牛の栄養状態と血液性状の評価
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 近畿中国四国農業研究センター
研究期間 2001~2003
研究担当者 安藤 貞
西口靖彦
早坂貴代史
発行年度 2004
要約 無施肥のシバ優占草地に春~秋連続放牧し、可消化養分総量2.2kg/日を上限補給した黒毛和種繁殖成雌牛は、養分摂取量と血液性状から、エネルギーとリンが、蛋白質とカルシウムよりも不足しやすい。子牛は成雌牛に比べ、血中の遊離脂肪酸が低く、アルブミン、カルシウム、無機リンが高い。
背景・ねらい ウシの血液性状は、その栄養代謝や健康状態を反映するため、代謝プロファイルテストの実施項目として、飼養管理の診断情報を提供する。そこで、無施肥のシバ優占草地に黒毛和種繁殖成雌牛を0.5、1.0、1.5頭/haで春~秋連続放牧し、上限補給した場合の成雌牛の養分摂取量を示し、血液性状との比較により、当該放牧条件下での牛の血液性状と栄養状態の整合性を明らかにする。
成果の内容・特徴 1.
0.5~1.5頭/haの放牧条件下で、入牧時体重を基準に、週ごとの体重減量時に、可消化養分総量(TDN)で2.2kg/日/頭を上限に補給した結果、全養分摂取量(/日/頭)に占める放牧草の供給率は、TDNとリン(P)が90%と低く、粗蛋白質(CP)とカルシウム(Ca)がそれぞれ95%、100%と高い(表1)。
2.
放牧草の養分摂取量のうち、CP、Caはほぼ授乳期の要求量を充足するが、TDNは妊娠末期、Pは維持期の要求量を充足する(表1)。
3.
エネルギ-代謝を示す血中遊離脂肪酸(NEFA)は、変動が大きく、成雌牛は子牛よりも有意(P<0.01)に高い(表2)。分娩後の最初の測定値は平均で738μEq/Lとそれ以外の433μEq/Lよりも有意(P<0.01)に高い。
4.
蛋白質代謝を示す血中アルブミン(ALB)は血中尿素窒素よりも変動が小さく安定し、成雌牛は子牛よりも有意(P<0.01)に低い(表2)。
5.
血中Caと血中無機リン(iP)は成雌牛は子牛よりも有意(P<0.01)に低く(表2)、iPで顕著である。血中ビタミンA(V.A)は、食草する成雌牛が授乳に依存する子牛よりも有意に(P<0.01)に高い(表2)。
6.
以上、養分摂取量と血液性状から、TDNとPが、蛋白質とCaよりも不足しやすい。子牛は、血液性状からNEFAが低く、ALB、Ca、iPが高く、成雌牛に比べ栄養状態が良好である。
成果の活用面・留意点 1.
0.5~1.5頭/haの放牧密度で、無施肥のシバ優占草地に春~秋の連続放牧条件下の知見である。
2.
摂取量に影響されやすい食餌性血液成分はiPとV.Aである。
3.
TDNとPは不足する傾向があるので、退牧後に補給するのが望ましい。
4.
本成果を含むマニュアル(近中四農研畜草部資料H16-2)は、近中四農研HP(http://wenarc.naro.affrc.go.jp/top.html)のトップページ「技術情報」よりダウンロードできる。
図表1 219979-1.gif
図表2 219979-2.gif
カテゴリ 飼育技術 施肥 繁殖性改善

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