任意地点の温位を近隣の気温観測地点との温位差から推定する方法

タイトル 任意地点の温位を近隣の気温観測地点との温位差から推定する方法
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 近畿中国四国農業研究センター
研究期間 2004~2005
研究担当者 植山秀紀
発行年度 2005
要約 近隣の気温観測値と任意地点の半年程度の気温観測値を、仮想の温位に変換したときの温度差を、2要素(推定地点と基準とする気温観測地点の地理的条件による、放射冷却の影響度)に分離してモデル化することにより、観測期間以外の温位が推定できる。
キーワード 地点間温位差、放射冷却強度、日照率、気温日較差、夜間風速、気温
背景・ねらい 農地の気温を評価する場合、中山間地域においては、近隣アメダスポイントの気温観測値をそのまま適用するには難点がある。また、気温は標高の影響を強く受けることから、地形因子を説明変数とする重回帰分析で導かれるメッシュ気温推定式は、標高以外の要因が過小評価され、精度低下が懸念される。そこで、気温を同一気圧の値である温位に変換し、任意地点と気温観測地点との地点間温位差をモデル化することにより、過去、現在、未来における近隣の気象観測値から、気温を推定する手法を開発する。
成果の内容・特徴 1.以下の手順により、地点間温位差の月、旬平均値が推定できる。(図1)
(1)
基準地点(アメダスや気象ロボット等の気象観測地点)と推定地点の気温と、標高における仮想気圧から温位を求め、推定地点と基準地点との温位差を求める。(式1)
(2)
角野(1961)の式を温位差に応用して、推定地点の地理的条件による放射冷却の影響度で決定される、推定地点における地点間温位差の要素値(ΔTPG)を求める。(式2)
(3)
基準地点の日照率、気温日較差、19∼21時の平均風速から、高層気象データで定義された、放射冷却の強度を示す指数(RCI)を求める。(式3)
(4)
観測値から、RCIを変数とするΔTPG値の推定モデルの定数項を求める。
(5)
基準地点の日照率、気温日較差、19∼21時の平均風速とΔTPWの観測値とから、基準地点の地理的条件による放射冷却の影響度で決定される、基準地点における地点間温位差の要素値(ΔTPW)の推定モデルの定数項を求める。
(6)
2つの要素(ΔTPG、ΔTPW)の推定モデルを作成することにより、既存の気象観測値に則した、地点温位のモデル化が可能となる。
2.広島県神石郡神石高原町において、アメダスポイント(油木)の観測値(2004年6∼12月)から推定した22地点の推定温位 (2005年1∼4月)の誤差(RMSE)は、月平均値で0.30K、旬平均値で0.23Kである。(図2)
成果の活用面・留意点 1.
統計的に十分な数の気温観測地点を設けることにより、アメダス等の既存の気温観測値に則したメッシュ図の作成や、平年値のメッシュ図作成に活用できる。
2.
温位差ではなく、気温差に本手法を適用しても、推定精度は同程度である。
3.
推定値の平均期間が短いと、放射冷却の強度を表す指標(RCI)の推定精度は低下するため、実用的な推定期間は旬までである。
4.
日照率は、気象庁のメッシュ気候値2000と同様の方法で求める。
5.降雪等があった場合など、周辺環境が異なった場合、推定誤差は拡大する。
図表1 220035-1.gif
図表2 220035-2.gif
図表3 220035-3.gif
カテゴリ 中山間地域 ロボット

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