タイトル |
飼料用イネ「クサノホシ」の湛水直播栽培における堆肥施用量と追肥時期 |
担当機関 |
(独)農業・生物系特定産業技術研究機構 近畿中国四国農業研究センター |
研究期間 |
2003~2006 |
研究担当者 |
橋本俊司
長 暉
松原秀樹(現日野農林局)
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発行年度 |
2005 |
要約 |
鳥取県において飼料用イネ「クサノホシ」を湛水直播栽培する場合、牛糞オガクズ堆肥で2 t/10a施用する。その他に播種後50日に中間追肥を行い、さらに出穂期に穂肥を施用すると倒伏の軽減や地上部重の確保の点で有効である。
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キーワード |
飼料用イネ、クサノホシ、湛水直播、施肥法、倒伏、堆肥
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背景・ねらい |
近年、転作作物として飼料用イネの栽培が急増している。飼料用イネは生産者価格が安価であることから収量を最大限確保することが重要である。一方、倒伏すると収穫作業が困難になるだけでなく、ホールクロップサイレージとして品質が低下する。また、耕畜連携の意義から堆肥を積極的に活用することが求められている。そこで、飼料用イネ「クサノホシ」を低コスト栽培に有利な湛水直播で栽培することを前提として、堆肥の適正な施用量ならびに多収と倒伏の回避を両立させる施肥法を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 飼料用イネ「クサノホシ」の苗立ち率は、堆肥施用量を4t/10aとして3年連用すると堆肥無施用と比較して若干低下する(表1)。
- 堆肥施用量を0、2、4t/10aとして3年間連用した場合、堆肥施用量2t/10aと4t/10aでは地上部重に有意な差がみられないが、草丈は堆肥施用量4t/10aでやや増加する(表2)。また、堆肥連用2年目の試験では、堆肥施用量4t/10aで倒伏程度が増加する(表3)。これらの結果ならびに鳥取県内の堆肥連用田で一般食用品種を栽培した際に倒伏する事例が報告されていることも考慮し、県内で「クサノホシ」を湛水直播栽培する場合、堆肥施用量は2t/10a程度が適当である。
- 堆肥連用3年目の圃場で追肥窒素量を4kg/10aとして中間追肥の適期を検討した結果、播種後50日に追肥すると地上部重が増加する(表2)。
- また、堆肥連用2年目の圃場で穂肥の適期を検討したところ、穂肥の時期は地上部重に有意な影響を及ぼさないが倒伏程度には影響する。出穂前25日に穂肥(4kg/10a)を施用した場合に倒伏程度が高く、施用時期が遅いほど倒伏程度は軽減される(表3)。現地試験においても、同様の結果が得られたことから(表4)、穂肥の適期は出穂期頃となる。
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成果の活用面・留意点 |
- 鳥取県内平野部から中間部で「クサノホシ」を湛水直播栽培する際に本成果を活用する。
- 表1~3は、鳥取県農業試験場(標高12m、灰色低地土)で2004年と2005年度に行った試験であり、両年とも5月13日に田植機簡易装着型直播機(K社製条播型)によって播種し、湛水直播して得られた結果である。播種量は乾籾換算で3.4~3.7kg/10a。
- 供試した堆肥は、牛糞+オガクズ堆肥であり全窒素含有率は1.25%であった。いずれの試験においても基肥は施用せず、中間追肥と穂肥には硫安を使用した。
- 2003年度の予備試験では窒素施用量を3kg/10aとしたが、生育や地上部重に有意な影響が認められなかったため、2004年と2005年の試験では窒素施用量を4kg/10aとした。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
直播栽培
飼料用作物
施肥
低コスト栽培
播種
品種
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