黄色粘着トラップでの捕獲によるアスパラガスのネギアザミウマの冬季防除

タイトル 黄色粘着トラップでの捕獲によるアスパラガスのネギアザミウマの冬季防除
担当機関 香川農試
研究期間 2001~2005
研究担当者 松本英治
森田知子
発行年度 2005
要約 グリーンアスパラガスのハウス栽培において冬季に成茎を刈り取った後、ビニル被覆による保温開始と同時に黄色粘着トラップを設置することにより、若茎の萌芽開始前後にネギアザミウマが大量捕獲され、収穫始期の若茎被害を軽減できる。
キーワード ネギアザミウマ、アスパラガス、粘着トラップ、物理的防除
背景・ねらい グリーンアスパラガスのハウス栽培では、冬季に成茎を刈り取った後、ビニルを2重被覆して保温する。保温開始の数週間後から若茎が萌芽し、順次伸長してくる若茎を長期間収穫するが、成茎にネギアザミウマが発生した状態で刈り取って早期に保温すると、ハウス内に閉じこめられたネギアザミウマが若茎を加害し、収穫始期に甚大な被害が生じる。
若茎を成虫5~10頭が加害すると被害が生じるため、若茎萌芽前にハウス内の成虫を少なくしておく必要があるが、薬剤防除では抵抗性などによって効果が不安定である。そこで、冬季防除の一手段として、粘着トラップを用いた大量捕獲による防除を検討する。
成果の内容・特徴
  1. ネギアザミウマ成虫は黄色または青色粘着トラップで捕獲できる(表1)。黄と青の捕獲数に有意差はないが、黄の方がやや多い傾向である(記号a~f)。しかし、黄では、捕獲数が明らかに少ない製品がある(記号h)。
  2. 保温開始日に黄色粘着トラップを設置し、ハウス内のネギアザミウマ成虫を捕獲する。この防除により、保温開始から2~3週間後の若茎萌芽始期において、若茎の成虫数を無防除の2~4割程度に抑制できる(図1)。さらに、その後の2週間程度は、若茎の成虫数が無防除よりも少ない状態が持続する。
  3. 粘着トラップでの防除によって若茎の成虫数が少なくなることに伴い、ネギアザミウマによる若茎被害が軽減できる(図1)。
  4. 粘着トラップでの防除を行わない場合でも、萌芽開始から2~3週間経過するとネギアザミウマの密度は低下し、若茎被害も減少する(図1)。これは、収穫した若茎とともにネギアザミウマをハウス外に持ち出すことと、増殖に適する植物質がハウス内にないことに起因すると考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. 柔らかな粘着剤(粘着面にふれると粘着剤が容易に付着する)が塗布されている製品を使用する。粘着剤が固い場合は、捕獲されたネギアザミウマが逃亡することがある。
  2. 黄色では、透明度が高い色調の製品は捕獲数が少ない場合があるので使用しない。
  3. 市販の青色粘着トラップでの防除も可能であるが、前述の粘着剤の性質に留意する。
  4. 一辺が30cm程度の粘着トラップが捕獲効率が高いので、25×40cmの製品を2分割して使用してもよい。また、長方形の場合、長辺を縦にして設置する方が捕獲効率が高い。
  5. 粘着トラップは2m間隔を目安とし、作業の妨げにならない場所に設置する。ひもを張って吊り下げたり、支柱を立ててクリップで固定したり、割れ目をつけた竹に挟んで立てるなどの設置方法がある。できるだけ低位置に設置するが、土などが容易に付着しないように注意する。
  6. 粘着トラップに接近している若茎では、トラップの色彩に誘引されたネギアザミウマが集まりやすいため、局所的に被害が抑制できないことがある。
  7. 黄色粘着トラップは、アブラムシ類やコナジラミ類も捕獲できる。
図表1 220082-1.jpg
図表2 220082-2.jpg
カテゴリ 病害虫 アスパラガス くり 抵抗性 ねぎ 防除 薬剤

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