イチジク株枯病の遺伝子診断

タイトル イチジク株枯病の遺伝子診断
担当機関 愛媛果樹試
研究期間 1998~2006
研究担当者 橘 泰宣
三好孝典
清水伸一
発行年度 2005
要約 磁性シリカビーズ吸着法でDNA抽出しsemi-nested PCRを行うことで、土壌やイチジク組織からイチジク株枯病菌を高感度に検出することができる。
キーワード イチジク株枯病、Ceratocystis fimbriata、PCR検出
背景・ねらい イチジク株枯病は、発病すると成木樹でも短期間で枯死に至る土壌伝染性の難防除病害である。現在、その対策として土壌かん注薬剤の探索や株枯病抵抗性台木による被害回避等の試験が実施されているが、その早期実用化のためには株枯病菌の動態を確認する必要がある。そこで、土壌やイチジク組織からの高感度検出法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. イチジク株枯病菌(Ceratocystis fimbriata 、愛媛分離株)のrDNA ITS領域塩基配列を解読し、それを基に設計したプライマー対[CFF3(5'-GATAAGAGATATGCTGCTTTGG-3')およびCFR3(5'-GTTTCCAACAGAAGTTGAATACAG-3')]を用いて1回目のPCRを行った後、semi-nestedプライマー対[CFF5(5'-CACTACCAGCAGTATAATTCT-3')およびCFR3]を用いてPCRを行うことで株枯病菌を特異的に検出できる。
  2. 土壌中の株枯病菌を確認するためには、磁性シリカビーズ吸着法によるDNA抽出キット(MagExtractor -Plant Genome-、東洋紡)を用いてsemi-nested PCRを行うことで、清澄化のためにポリビニルポリピロリドン(PVPP)または、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)を用いた既報の方法(Zhou et al.、1996)では不可能である土壌からの検出が可能となる(図1、2)。
  3. 本法による土壌からの検出限界はsemi-nested PCRを行うことで乾燥土壌1gあたり101個の子のう胞子まで向上させることが可能である。また、検出限界を既報の枝挿法と比較すると両者に差は認められないが、判定に要する日数はPCR検出が短期間である(表1)。
  4. イチジク組織中の株枯病菌は本法により検出することで、発病組織に加えて病変部周辺の未発病組織からも容易に確認することが可能である(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 本法はイチジク組織中の菌の移動範囲を識別するのに有効な手段であり、株枯病抵抗性台木選抜のための、イチジク品種の感受性検定に利用できる。
  2. 本法は現地発病樹の株枯病診断に活用することが可能で、特に類似病害(胴枯病、疫病)との識別に有効である。
図表1 220090-1.jpg
図表2 220090-2.jpg
図表3 220090-3.jpg
図表4 220090-4.jpg
カテゴリ 病害虫 いちじく 乾燥 台木 抵抗性 品種 防除 薬剤

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