タイトル |
1-MCP(1-methylcyclopropene)処理柿のあんぽ柿加工時の渋の推移について |
担当機関 |
しまね味開指セ |
研究期間 |
2005~2005 |
研究担当者 |
松本敏一
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発行年度 |
2005 |
要約 |
1-MCP処理した‘西条’の材料柿を用いてあんぽ柿を製造すると、渋抜けが悪くなり、硫黄燻蒸でさらに強まった。他品種でも同様な傾向が見られるものもあることから、あんぽ柿または干し柿材料における1-MCP処理を現場で普及する場合は、各品種毎に渋抜けについての確認が必要である。
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キーワード |
あんぽ柿、1-MCP処理、材料柿、渋残り、可溶性ポリフェノール
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背景・ねらい |
あんぽ柿は、生菓子感覚で食されることから百貨店等で高値で取引され、渋柿の高付加価値商品として定着している。近年、果実の日持ち性が向上する1-MCPの有効性が注目され、我が国でもリンゴ、ナシ、カキでの農薬登録申請中である。カキにおいても、早ければ来年度からの現場での使用が予想される。しかし、農家が出荷した柿は、集荷所で1-MCP処理をしてから脱渋柿とあんぽ柿用原料として分けられる場合があるため、1-MCP処理した柿はあんぽ柿の材料として適当かどうかを検討する。
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成果の内容・特徴 |
- フォリン・デニス法(80%メタノール抽出)を用いて可溶性ポリフェノール含量を測定したところ、1-MCP処理した‘西条’の材料柿は、無処理区と比べて製造過程での渋抜けが遅く脱渋阻害が認められる。また、ドライアイスであらかじめ脱渋した材料柿では、数日後に若干の渋戻りが認められ、その後も可溶性ポリフェノール量が減少しない(図1)。
- ‘西条’のあんぽ柿における全ポリフェノール量に対する可溶性ポリフェノール量の割合をみると、図1の可溶性ポリフェノール含量の推移と同様な傾向が見られる(図2)。
- ‘西条’のあんぽ柿において、表面殺菌と変色を防ぐ目的で硫黄燻蒸処理すると、完成したあんぽ柿中の可溶性ポリフェノール含量がさらに減少しにくくなる(表1)。
- 品種間差をみるため他の渋柿で同様な試験を行ったところ、‘愛宕’では‘西条’と同様に材料柿の1-MCP処理による脱渋阻害が確認されるが、‘横野’では認められない(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 1-MCPをあんぽ柿や干し柿の材料に処理する場合は、渋残りの可能性があるのでそれぞれの品種毎に確認する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
かき
加工
高付加価値
出荷調整
農薬
品種
りんご
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