タイトル |
島根型養液栽培システム利用による果菜類の生産安定 |
担当機関 |
環境部 |
研究期間 |
2001~2005 |
研究担当者 |
宮崎 稔
高野 浩
笹川悦世
石津文人
大倉角栄
播磨邦夫
北川 優
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発行年度 |
2005 |
要約 |
島根型養液栽培システムは、5年以上連用が可能なヤシガラ主体の有機質培地を用いており、培養液ECを高精度に制御でき、排液中の肥料成分を少なくできる。
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キーワード |
養液栽培、果菜類、環境保全、有機質培地
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背景・ねらい |
島根県では、トマト・メロン・イチゴなどを振興品目としているが、生産者の高齢化や連作障害等により栽培面積・生産量とも減少が続いている。そこで、リサイクル可能な有機質培地を用い、培養液管理が容易で環境に優しい養液栽培システムを開発し、生産の安定・拡大を目指す。
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成果の内容・特徴 |
- 培養液の供給方式は、掛け流し式であり、栽培ベッドは、排水溝を内蔵した発泡スチロール製で、培地内へ培養液を均一に拡散させるため、点滴チューブの下に水拡散シートを設置した構造である(図1)。
- 培地は、ピートモス:ヤシガラ繊維:ヤシガラチップ(8mm角):ヤシガラ活性炭を10:4:5:1の割合で混合したものである。株当たり培地量は、トマト、メロンで約4~6L(株間40~50cm)、イチゴで約3Lである(株間20cm)。
- 培養液への液肥の混合は定量ポンプによる2液混合方式である。培養液供給システム1台で4系統に給液が可能で、系統ごとに給液量と給液ECを設定できる。
- 本システムは低濃度で給液を行うことと掛け流し式を採用していることから、連作しても培地中にCaやMgなどの塩類が集積しにくいため、トマト、メロンおよびイチゴとも5年以上の培地連用が可能である(図2)。
- 液肥として大塚SAまたはA処方を用いた場合、給液ECは抑制トマトで0.6~1.0dS/m(排液EC0.35dS/m前後)、促成イチゴで0.4~0.8dS/m(排液EC0.2dS/m前後)が適当であり、従来の掛け流し式養液栽培システムに比べ低い給排液ECで栽培ができる。上述の給液ECで栽培した場合、半促成トマトおよび促成イチゴとも、排液中の硝酸態窒素濃度は10ppm、リン濃度は4ppmをほぼ下回る(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 本システムの10a当たり標準導入価格(施工費別)は、培地加温設備を含めて、トマトでは約350万円、イチゴでは約480万円である。
- トマト、イチゴとも排液率20~30%を目標に、天候や生育に応じ給液量を調整する。
- 排液を回収できる構造となっており、再利用する循環システムへ改良することが可能である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
肥料
いちご
トマト
メロン
養液栽培
連作障害
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