タイトル |
ワサビのセル成型育苗法 |
担当機関 |
山口農試 |
研究期間 |
2001~2005 |
研究担当者 |
田中 進
古江寿和
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発行年度 |
2005 |
要約 |
ワサビの畑栽培におけるセル成型育苗法は、秋播きの場合128穴セルトレイを使用し、市販の葉菜類用育苗培地に緩効性肥料を1L当たり2.5~5.0g混入した培地を用い、約70日間育苗する。本育苗法は慣行育苗に比べ定植後の活着が優れる。
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キーワード |
ワサビ、セル成型育苗法、育苗日数
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背景・ねらい |
山口県の標高300m以上の準高冷地においては、畑地でのワサビ栽培が盛んに行われており、中山間地域の重要な特産物となっている。 山口県でのワサビの育苗には、従来、栄養繁殖法や種子を育苗床(地床)に直接播種する方法が採られている。しかし、母株由来の病気の発生や、苗の定植時に根を傷めることが多く活着が悪いといった問題が起きており、その解決策が望まれている。 そこで、良質の苗を安定的かつ効率的に生産可能なセル成型育苗法をワサビの育苗に導入することし、その利用技術を確立する。
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成果の内容・特徴 |
- 秋播き(9~10月)で同年の12月までに苗を定植する作型において、72穴トレイは128穴トレイに比べ生育が早く、比較的充実した苗に生育するが、両者間の差異はわずかである。そのため、経済性を考慮すると128穴トレイが適する(表1)。
- 根鉢が形成され定植に適した苗にするために必要な育苗日数は、約70日間である。播種70日後では育苗培地やセルトレイの種類にかかわらず、根鉢は十分に形成され、トレイからの抜き取りが容易である。播種50日後では根鉢の形成が不十分である。播種90日以降になると128穴トレイでは草丈が大きくなり、苗を抜き取る際に、葉柄が折れる等物理的な障害を受けやくなる(表1)。
- 慣行の地床育苗と比較し、育苗期間中の生育が優れ、斉一性の高い苗が効率的に生産できる。また、苗の定植後の活着も良好で初期生育もばらつきが少ない。セルトレイ、培地とも市販品が利用可能である(図1、写真1)。
- 育苗培地として市販のセル成型育苗専用培地を使用する場合、育苗日数が一般の野菜より長いため、25日前後の育苗期間での使用を想定している市販培地では育苗期間後期に肥料切れとなる。播種前に培地に微小粒状の緩効性肥料を混入しておくことで、育苗期間後期にも順調な生育が保たれ定植時の苗質が向上し、定植後の生育も促進される(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 本情報は、本ぽについては畑地における栽培を前提としている。
- 雨による培地の流亡を防ぐため、育苗場所はビニールハウス内等雨よけ条件下とする。
- 播種直後から双葉が展葉する頃までは、培地が乾燥すると発芽不良や生育のばらつきが起きるので、培地の表面が常に濡れている状態になるよう、灌水量を調節する。本葉が展葉し始めた頃から、灌水量をやや控えて、根鉢の形成を促す。
- ワサビのセル苗は葉茎菜類(ハクサイ)等のセル苗よりも定植適期の幅は広いものの、定植が遅れると活着が悪くなるので、定植適期をのがさないように注意する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
肥料
育苗
乾燥
栽培技術
中山間地域
はくさい
播種
発芽不良
繁殖性改善
わさび
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