トマトおよびイチゴにおける1原液タイプの隔離床用肥料の利用

タイトル トマトおよびイチゴにおける1原液タイプの隔離床用肥料の利用
担当機関 香川農試
研究期間 2001~2005
研究担当者 藤村耕一
野田啓良
牛田 均
松崎朝浩
湊 博之
加藤伊知郎
近藤弘志
山地優徳
発行年度 2005
要約 1原液タイプの隔離床用肥料を利用することによって、隔離床を用いた高糖度トマト生産において、既存の養液土耕用給液装置を改変することなく葉の黄化が防止できる。また、イチゴの養液栽培では、養液供給装置や肥料の低コスト化ができる。
キーワード トマト、高糖度、生理障害対策、隔離床用肥料、イチゴ、1原液タイプ
背景・ねらい 香川県では隔離床で養液土耕栽培を行う「ゆうらくシステム」が開発され、トマト、ミニトマトで普及している。このシステムを用いて節水管理による高糖度トマト生産を行った際に葉の黄化が発生し問題になっている。原因として硫黄欠乏が考えられ、養液栽培用肥料を用いると発生しない。しかし、現地で導入されている給液装置は1原液タイプであり、2原液タイプの養液栽培用肥料は利用できない。
また、県下で普及している慣行のイチゴの養液栽培システムでは、2種類の濃厚原液を養液供給装置で希釈して培養液としているが、装置の老朽化などから、肥料成分バランスの崩れが問題となっている。濃厚原液を1種類にすれば、肥料成分バランスの安定と養液供給装置の低コスト化が可能である。
そこで、肥料メーカーと共同で開発した1原液タイプの隔離床用肥料を用いて、トマト及びイチゴ栽培への適応性について検討する。
成果の内容・特徴
  1. 1原液タイプの隔離床用肥料は硫黄成分を含んでおり、主な成分は慣行の養液栽培用肥料とほぼ同等である(表1)。濃厚原液を1液に調整しても沈殿を生じないので原液タンクや液肥混入器が1台で良く、培養液の肥料成分バランスが安定している。
  2. 本肥料をトマトに用いると、節水管理をしても、養液栽培用肥料を用いた場合と同様に、葉の黄化は発生しない(表2)。
  3. 本肥料を用いた場合のトマトの総収量は、養液栽培用肥料と同等である。収量に占める高糖度果実収量の割合は、養液栽培用肥料と同等で、養液土耕用肥料より多い(図1)。
  4. 本肥料をイチゴの養液栽培に用いた場合、慣行の養液栽培用肥料と同等の収量が得られる(表3)。
  5. コストは、窒素成分1kgあたり肥料代が養液栽培用肥料で3386円に対して隔離床用肥料は2703円であり20%程度安くなる。また、トマトでは養液栽培用肥料の導入のための給液装置の追加経費が必要なく、イチゴでは、養液供給装置の肥料混入器や原液タンクが一つで良いため、導入時コストが10万6千円以上安くなる(データ省略)。
成果の活用面・留意点
  1. この肥料は香川県内において、「香川ゆうらく肥料」の名称で製品化され、2004年より高糖度トマト生産農家に、2005年からイチゴ養液栽培において導入が開始されている。また、県外においては、「タンクミックス」の名称で、販売が行われている。
  2. トマトは、マサ土:ピートモス混合培地(混合比1:1)による結果である。
  3. イチゴは、香川型養液栽培システム利用によるものである。
  4. イチゴの培養液濃度管理は、慣行の養液栽培用肥料と同じでよい。
図表1 220144-1.jpg
図表2 220144-2.jpg
図表3 220144-3.jpg
図表4 220144-4.jpg
カテゴリ 肥料 いちご コスト 生理障害 低コスト トマト 水管理 ミニトマト 養液栽培

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