タイトル |
一人で作業できるプレカットシートによる傾斜地ウンシュウミカン園での部分マルチ |
担当機関 |
香川農試府中分場 |
研究期間 |
2004~2005 |
研究担当者 |
森末文徳
山地茂伸
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発行年度 |
2005 |
要約 |
あらかじめ1.5×3.0mの大きさに切断されたシート(プレカットシート)を用いることにより、慣行のマルチ被覆方法と比較して、一人で、短時間のうちに70%程度の被覆率でマルチ被覆をすることができ、極早生ウンシュウでは、毎年、果実の着色を促進することができる。
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キーワード |
ウンシュウミカン、マルチ、プレカットシート、果実品質、省力化
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背景・ねらい |
ウンシュウミカンの生産においては、非破壊式選果機の導入が進み、天候等の条件にかかわらず、一定品質以上の果実を安定して生産することが求められている。そのため、ウンシュウミカンの多くが植栽されている急傾斜園においても、マルチ栽培を行う必要性が高まっている。これまで、急傾斜園においては、資材の運搬や被覆作業が重労働であるだけでなく、マルチ被覆による雨水の排水対策が別途に必要となるため、緩傾斜園や平坦園と比較してマルチ栽培の導入が進んでいない。そこで、あらかじめ規格化された透湿性シートによる部分マルチ被覆が作業時間や果実品質に及ぼす影響について検討を行い、マルチの全面被覆の導入が困難な急傾斜園地において省力で高品質果実が生産できる技術を確立する。
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成果の内容・特徴 |
- あらかじめ1.5×3.0m(長方形区)の大きさに切断された(プレカット)透湿性シートを用いて、四隅の鳩目に鋼製ピンを通して固定しながら、樹冠外周部の土壌表面に連続してシートを被覆していくことにより、土壌表面の約70%程度をマルチで被覆できる(図1、2)。
- 急傾斜園(傾斜斜度およそ20度の園)で、この方法を用いることにより、2.0×2.0m(正方形区)の大きさに切断された透湿性シートを用い、長方形区と同様にピンで固定する方法や長尺シートを樹冠下に設置した鋼管に固定し、開閉式として数年間使用する本県の慣行方法(慣行区)と比較して、のべ作業時間は最も短くなる(表1)。
- また、慣行区では全ての作業を2名で行う必要があるのに対し、長方形区および正方形区では全ての作業を1名で行うことができ、作業人員は少なくなる(データ省略)。
- この方法を用いて9月から収穫期までの期間、マルチ被覆を行うことにより、極早生ウンシュウの岩崎早生では、マルチ被覆を行わなかった場合(無処理区)と比較して、6分着色以上で、果皮色が良好で、果実比重の高い果実が生産でき、慣行区とほぼ同等の品質の果実を生産することができる(表2)。
- 1.5×3.0mのシートは、1枚当たり1,000円程度で発売される予定である。70%被覆の場合では10a当たり約15万の経費が必要となるが、慣行の約23万円(副資材費を含む)の経費と比較してコストが低減できる。
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成果の活用面・留意点 |
- 平坦園や緩傾斜園では、資材を園地の上部まで運搬する必要がないため省力効果が現れにくい。また、70%被覆で品質向上効果が少ない場合には被覆率を高めたり、被覆開始時期を早めるなどの園地に応じた被覆を行う。
- 2年間の連続使用では礫などによるシートの破損等は認められない。また、台風や強風による被害も認められていないが、風当たりの強い園では、土のう等を用いて飛散防止対策を行うことが望ましい。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
温州みかん
傾斜地
コスト
省力化
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