烏骨鶏を用いた醤油風発酵調味料の開発

タイトル 烏骨鶏を用いた醤油風発酵調味料の開発
担当機関 香川畜試
研究期間 2004~2005
研究担当者 安部正雄
大西茂彦(香川県産技センター発食研)
発行年度 2005
要約 小麦、大豆と、烏骨鶏の肉骨ミンチを等量ずつ混合し、通常の製造方法で醸造することにより、淡色で全窒素が多い醤油風発酵調味料を製造することができる。
キーワード 烏骨鶏、醤油風発酵調味料
背景・ねらい 烏骨鶏の初生雛は雌雄鑑別が難しいことから、無鑑別で90日齢頃まで育成している。しかし、雄雛は最終的には利用価値がないため、ほとんどは廃棄される。このことから雄雛の骨肉を利用して醤油風発酵調味料(以下「発酵調味料」という)を製造して、その有効活用を図るとともに、地域特産物の開発を目指す。
成果の内容・特徴 当初、蛋白分解酵素(プロテアーゼ、ペプチターゼ併用)を用いた製法、また、烏骨鶏の肉骨ミンチを50%量とした製法について検討したが、普及生、経済性、また、発酵醸成後の状態から、本法では、同ミンチと大豆、小麦の配合は等量として製造した。
  1. 若齢烏骨鶏雄(103日齢)32羽(解体後の総重量10kg)の肉と骨をミンチ化したものと、小麦(10kg)、大豆(10kg)を原料に用いて図1に示す製造方法で、平成16年4月から醸造すると、半年間の発酵醸成で60Lの発酵調味料が製造できる。
  2. 試験で用いた醸造方法は、通常の醤油製法に烏骨鶏の肉骨ミンチの追加混合工程以外に、新たな作業工程や機器の追加はない。
  3. 製造した発酵調味料は、鶏肉由来の風味があり、熟成半年後の成分分析の結果、色度は41で、通常の淡口醤油(色度27)より淡色で、白醤油(同46以上)に近い。醤油の旨味の指標である全窒素は、通常の濃口醤油よりも多い(表1)。
  4. 遊離アミノ酸量は、通常の淡口醤油や濃口醤油に比べ、スレオニン、フェニルアラニン、アラニン、リジンが多く、グルタミン酸、チロシン、アルギニンが少ない(表2)。
  5. 通常の醤油の場合、熟成期間が長いほど味がまろやかになる「しおなれ」という現象が知られているが、本発酵調味料においても醤油醸造に準じた工程を採用していることから1年間熟成したものに同様な傾向が見られる。
成果の活用面・留意点
  1. 烏骨鶏肉については、独特の肉色により日本では利用用途が限られていることから、新たな活用方法の開発により利用価値が増加することが期待できる。
  2. 試作した発酵調味料は色が薄く、全窒素が多いことを特徴としている。特に淡色であることは、本発酵調味料を加工食品の原料として利用した場合、食品素材の色調を大きく変化させないことから利点となる。
  3. 製造コストは、烏骨鶏の処理過程の追加コストは必要となるが、使用する原材料や機材が通常法と同じものであることから、大きくは烏骨鶏の供給価格によって決定される。
    このため、烏骨鶏の供給体制が整備され、安価に提供されるならば製造コストの増加に見合う高付加価値化販売が可能と考えられる。
図表1 220207-1.jpg
図表2 220207-2.jpg
図表3 220207-3.jpg
カテゴリ 加工 高付加価値 コスト 小麦 大豆

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