タイトル |
受精卵クローン技術を利用した種雄牛造成の効率化 |
担当機関 |
広島畜技セ |
研究期間 |
1994~2001 |
研究担当者 |
岩水 正
今井 昭
松重忠美
谷本陽子
尾形康弘
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発行年度 |
2005 |
要約 |
分割卵検定に受精卵クローン技術を組み込むことで、既存の体内受精由来の分割胚を用いた種雄牛造成システムに対し、造成の効率を1.5倍に高めることができる。また、産肉能力検定用クローン牛が複数頭生産できるため、検定精度が高くなる。
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背景・ねらい |
種雄牛造成を目的とした体内受精胚の分割卵検定を行う場合、確実にペア産子を得ることは難しい。経膣採卵・体外受精2細胞期の割球分離胚を培養し、一方を体外受精産子として生産し、他方を桑実期に核移植用ドナーとして利用することで複数の産肉能力検定牛を生産できる。 このことで、確実でより精度の高い種雄牛造成の実現が可能となる。
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成果の内容・特徴 |
- 黒毛和種から経膣採卵・体外受精を行い2細胞期胚を酵素液中で割球に分離し、Vero細胞との共培養を行い、一方を体外受精産子として生産し、他方を核移植用ドナー胚として利用し継代核移植を行うことで、複数の産肉能力検定用クローン産子を生産する(図1)。
- 2細胞期胚を割球分離し、培養することで66.7%(28/42)が桑実期以上に発生する。また、1回当たり3.0組(12双子胚/4回)の体外受精分割胚が作出できる(表1)。
- 割球分離由来桑実期胚の核移植によって65.1%(84/129)が桑実期胚まで発育し、1回当たり8.4±2.1個の核移植用ドナー胚を作出できる。また、継代核移植によって55.9%(33/59)が胚盤胞期胚まで発育し、1回当たり6.6±5.1個の移植可能胚を作出できる(表2)。
- 割球分離由来胚盤胞期胚(種雄牛候補)を受胚牛に移植し、61.1%(11/18)が受胎する。
- 継代核移植胚(産肉能力検定牛候補)を受胚牛に移植し、66.6%(10/15)が受胎する。
- 実験データをもとに、種雄牛造成効率を推測すると、1回の経膣採卵で、0.9ペアの雄ペアが生産できるため、2回の経膣採卵で、確率的には、1頭以上の種雄牛候補が得られる(表3)。
- 継代核移植を行うことで、分割卵検定の検定精度が高くなる複数頭の産肉能力検定用クローン牛を確実に生産できる(図1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 発育の停止した核移植胚を用いて性判別することで、種雄牛候補用の割球分離胚を受胚牛に移植する前に雄胚だけを選別できる(図1)。
- 核移植用のレシピエント卵子も経膣採卵で採取し、できるだけドナーと同じ品種や個体のものを用い、また、産肉能力検定用クローン牛の生産時期を揃えることが望ましい。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
桑
品種
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