タイトル |
養液栽培によるチャのポット苗育成技術 |
担当機関 |
滋賀県農業技術振興センター |
研究期間 |
1999~2005 |
研究担当者 |
近藤知義
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発行年度 |
2005 |
要約 |
チャのポット苗を、挿し木してから苗の発根が揃うまでは散水栽培、それ以降定植するまでは循環式養液栽培により、8~9ヶ月間育苗することで、ペーパーポット苗の約3倍の新梢重と根重を有する優れた1年生苗を育成できる。
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キーワード |
チャ、養液栽培、育苗、ポット苗
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背景・ねらい |
近年急速に普及しているペーパーポット育苗法は、良質な1年生苗を育成でき、定植時の植え傷みが少ないため、早期に成園化できる育苗法として利用されている。 一方、野菜類や花卉類を中心に行われている養液栽培は、肥料成分を効率的に利用でき、生産量の増大・高品質化が図られるなどのメリットがある。 しかし、チャの育苗において、養液栽培を利用した例はないため、ペーパーポット苗より良質な1年生ポット苗を養液栽培で育成する新たな技術を確立する。
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成果の内容・特徴 |
- 本技術では、養液栽培装置と栽培ベッドの直上に配置した散水設備とで構成される育苗施設(図1)を用いる。
- 底面部と側面部に給液と通気のための孔をあけたポリエチレン製ポット(直径9cm、高さ20cm)に、砂30%とピートモス70%の割合(容量比)で混合した育苗土を充填し、パイプハウス(無加温)内に設置した養液栽培装置の栽培ベッドへ当該ポットを移した後、6月下旬~7月上旬に2節2葉の穂木を挿し木する(図1)。
- 挿し木してから苗の発根が揃うまで(約2ヶ月)は散水設備による散水栽培、それ以降定植するまでは循環式養液栽培により、8~9ヶ月間育苗する(以下、本育苗法を水耕ポット育苗とする)。
- 養液栽培の培養液には、市販養液栽培肥料を主体に調整した培養液(表1)を用い、毎時10分間の間断給液を行う。また、蒸散等により培養液が減少した場合は、基準濃度の培養液を減量分補充し、1ヶ月に1回は全量交換する。
- 水耕ポット育苗により育成された1年生ポット苗は、新梢重で1年生ペーパーポット(直径6cm、高さ15cm)苗の260%、根重で313%と有意に重くなるなど、ペーパーポット苗より地上部、地下部ともに優れた生育を示す(表2、図2)。
- 水耕ポット苗は、ポリエチレン製ポットを取り外してポット状に成形された土付きの状態で植え付けるため、定植時の植え傷みが少ない。また、ポリエチレン製ポットは、定植後回収し洗浄することで、再利用することができる。
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成果の活用面・留意点 |
- 本技術を活用することで、新品種への転換など、近年多様化するニーズに即した新植、改植を推進できる。
- 育苗施設やポットは、使用前の洗浄と育苗中の適切な病虫害防除の実施により、連続使用しても病虫害の多発生などの問題はみられない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
肥料
病害虫
育苗
馬
改植
栽培技術
挿し木
新品種
防除
養液栽培
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