タイトル |
採種用タマネギの花球収穫機 |
担当機関 |
香川県農業試験場 |
研究期間 |
2004~2006 |
研究担当者 |
岩部孝章(同左)
山浦浩二
山本英男(文明農機(株))
松下 雄(同左)
西田 剛
石田伊佐男(井関農機(株))
白井英治
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発行年度 |
2006 |
要約 |
本機は、畝立て栽培した採種用タマネギの花球を収穫する機械である。余分な茎部を段階的に 切除しながら搬送することにより、草丈のバラツキに関係なく、採種に必要な花球部のみを効率的に刈り取り、 コンテナ収納できる。作業能率は1.88人・h/10aである。
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キーワード |
採種用タマネギ、花球、収穫、作業能率
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背景・ねらい |
採種用タマネギの収穫作業は、7月の暑い時期に1本ずつ手刈りしなければならない重労働である。 また、品種ごとの収穫適期が2~3日と短いにもかかわらず、花球が良く乾いている時に収穫しないと 発芽率等が低下する。そこで、作業能率・精度に優れた収穫機を開発し、高品質種子の安定生産と作業の 省力・軽労化を図る。
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成果の内容・特徴 |
- 本機は、誘導部、挟持部、搬送部、排出・収納部で構成される作業機を、クローラ式の 汎用門型畝間走行台車に搭載している(図1)。
- 作業機は、走行台車天井部の油圧シリンダと、左右フレーム部の平行リンクで支えているので、 草丈に応じて、作業者が常時高さ調節を行うことができる(図1)。
- 搬送部では、花茎を2本のゴムベルトで吊り下げた状態で搬送する。ベルトの下方に、花茎の 自由落下を補助する回転ブラシと余分な茎部を切除するディスクカッタを配置することにより、 草丈のバラツキに関係なく、茎長を短く揃えて機体後方に排出できる(図2)。
- 花球部に残る茎の長さは、2~5cm程度である。株間13.5cm、1株あたり立茎数4本/mの平均的な 花茎密度(30本/m)の場合、上記の範囲内で切断できる割合は90%である (図1)。
- ゴムベルトの間隔は、品種間差や年次差による花球の大きさの違いに応じ、10~40mmの範囲で 調整できる。また、作業部の上面に、搬送中の振動で落下する種子を回収できるカバーを設置して いるので、収穫適期を過ぎた脱粒しやすい花球の場合でも、収穫ロスを1%以内に抑えることができる (図1)。
- 作業者は、機体後方に乗車し、運転操作とコンテナ交換作業を行う。畝幅1.2m、作業速度0.19m/s、 雌株率0.8のほ場における作業能率は1.88人・h/10aで、人力の6.4倍である (表1、図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 倒伏した花茎を引き起こすことはできないので、収穫期まで立茎姿勢を維持できるよう入念な栽培管理を行う。ただし、倒伏防止用に設置した支柱・ヒモ等は、走行の妨げになるので事前に除去する必要がある。
- 吊り乾燥のため茎部を20~30cm残して刈り取る場合は、搬送部終端のディスクカッタを下方に付け替えることで対応できる。
- 井関農機(株)より市販の予定がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
乾燥
軽労化
栽培技術
収穫機
たまねぎ
品種
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