1月に成熟するカンキツ新品種「あまつづみ」

タイトル 1月に成熟するカンキツ新品種「あまつづみ」
担当機関 広島農技セ
研究期間 1987~2004
研究担当者 古田貴音
川﨑陽一郎
大政英司
中谷宗一
長谷川美穂子
野上暁子
発行年度 2006
要約 「あまつづみ」は、「安芸タンゴール」(「興津早生」×「トロビタオレンジ」)に 「サザンレッド」を交配して育成したカンキツ新品種である。高糖度で果皮の紅色が濃く、 オレンジ香を有し、さらに、じょうのう膜が柔らかく、口あたりの良い良食味品種で、育成地では1月下旬に熟期となる。
キーワード カンキツ、新品種、育種、交雑品種、あまつづみ
背景・ねらい 近年、ウンシュウミカンおよび四晩柑は、消費量および単価の低迷が続いている。そこで、これらに 代わって、12月から1月の年末年始に成熟し、高糖度で食味が良く、じょうのう膜が柔らかくて口あたりの 良いマンダリンタイプのカンキツの育成を行う。
成果の内容・特徴
  1. 「あまつづみ」は、1987年に種子親「安芸タンゴール」(「興津早生」×「トロビタオレンジ」)に 花粉親「サザンレッド」を交配、育成して、1996年に選抜した個体である。
  2. 育成地(東広島市安芸津町)における満開期は5月第4半旬で、着色は10月中旬から始まり、 11月第2半旬に完全着色となる。成熟期は1月下旬である(データ省略)。
  3. 樹勢は、「宮内伊予柑」(対照品種)と同程度で、枝梢は対照2品種と比べて太く長い。葉の 大きさは、対照2品種と比べて大きく、葉縁には波状がみられる。隔年結果性は低い (表1)。
  4. 果皮は、赤橙色で「天草」(対照品種)に比べてやや紅色が濃い。果皮厚は極めて薄い。剥皮は、 対照2品種に比べてやや容易である(表2)。 香気は、「天草」がクレメンティン香、「宮内伊予柑」がイヨカン香を有するのに対し、 「サザンレッド」に近いオレンジ香を有する(表2)。
  5. 成熟期の果実は、果実重120~240g、果形指数143程度で扁平である。果肉は柔らかく、多汁で、 糖度(°Brix)は12~14、酸度は1.0~1.4wt,%と濃厚な食味を有する。種子は、6個程度入る。 じょうのう膜は、「宮内伊予柑」より柔らかいため、袋ごと食べることができる (表2、表3)。
  6. 以上の結果より、「あまつづみ」は、高糖度で果皮の紅色が濃く、オレンジ香を有し、さらに、 じょうのう膜が柔らかくて、口あたりの良い良食味品種で、育成地では1月下旬に成熟期となる カンキツ新品種である。
成果の活用面・留意点
  1. かいよう病に弱いため、ネーブルと同程度のかいよう病防除を行う。
  2. 過度の土壌乾燥を受けると、その後の降雨による吸水によって裂果が生じやすい。このため、 無降雨が続く場合は、土壌水分の急激な変化を避けるためにかん水を行う。
  3. 12月に入り、気温が0℃以下となる前に袋掛けを行う。
  4. 広島県の中晩柑主要生産地である尾道市瀬戸田町を中心に普及を図る。
  5. 広島県外への普及は,2012年以降の予定である。
図表1 220291-1.jpg
図表2 220291-2.jpg
図表3 220291-3.jpg
カテゴリ 病害虫 あま 育種 伊予柑 温州みかん 乾燥 新品種 ネーブル 品種 防除 良食味 その他のかんきつ

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