「幸水」における新規液体増量剤を用いた溶液受粉技術

タイトル 「幸水」における新規液体増量剤を用いた溶液受粉技術
担当機関 愛媛果試
研究期間 2004~2006
研究担当者 田中誠介
日浦直之(高知農技セ果樹試)
阪本大輔(果樹研)
矢野隆(愛媛果試)
白川美帆
荻野雅人(松下電池)
発行年度 2006
要約 「幸水」の人工受粉においてキサンタンガムと液糖で作成した新規液体増量剤を用いると、花粉および 増量資材費を半減できる。
キーワード ニホンナシ、人工受粉、液体増量剤、溶液受粉、幸水
背景・ねらい ニホンナシはほとんどの品種が自家不和合性であるため人工受粉が必須作業として行 われている。本作業の ほとんどは人手に頼らざるを得ず、また作業が開花期に集中するため、雇用労力が不可欠であり収益性を 低下させている。
そこで、キウイフルーツで開発された溶液受粉技術を「幸水」に応用し、受粉作業の 省力化と経営コストの 削減を図る。
成果の内容・特徴
  1. 液体増量剤の組成糖として液糖(可溶性固形物75%:ブドウ糖45%、果糖55%溶液)をBrix8で添加した 場合も、ショ糖10%(W/V)と同等以上の花粉発芽率が得られる(表1)。
  2. 増粘剤にキサンタンガム(XG)0.04%を用いると、寒天0.1%よりスポット状に散布でき、ナシ柱頭への 花粉付着粒数は3倍程度多くなる(図1)。
  3. 新規液体増量剤で受粉した場合、花粉希釈濃度が0.1%(W/V)でも寒天0.1%溶液や石松子による粉末受粉と 同等の着果率が得られ、果重および糖度計示度にも差が認められない(表2)。
  4. 10a当たりの受粉時間は22.6時間で粉末受粉と同程度である(表3)。
  5. 10a当たり散布量は5L程度で、花粉および増量資材の費用を慣行粉末受粉の46%に削減できる (表3)。
成果の活用面・留意点
  1. 本成果は松下電池工業が試作したダイヤフラムポンプによる霧吹き方式噴霧器を用い、花粉はK社販売の 前年中国産「雪花梨」の冷凍精製花粉を用いた。
  2. 増量剤500mlを作成する場合、溶液に液糖を53g加えて500mlに定溶し糖度計で8を確認する。
  3. 受粉済みを識別するために食用色素赤色102号を0.01~0.02%(W/V)添加する。
  4. 受粉は花粉を直前に加え30~60秒間十分に振とう後、2時間以内に使用する。
  5. 花粉濃度0.25%(W/V)溶液の噴霧では1柱頭当たり3~4粒の付着(データ略)であるため、花粉発芽率を 考慮すると0.2%程度での使用が望ましい。
  6. 柱頭に十分付着するよう花の正面から散布する。
  7. 受粉時間短縮のため吐出量を多くした散布器の改善等の課題が残った。
図表1 220306-1.gif
図表2 220306-2.gif
図表3 220306-3.gif
図表4 220306-4.gif
カテゴリ キウイフルーツ 経営管理 コスト 受粉 省力化 品種

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