肥育素牛における導入時からの増体遅延へのUDCA製剤投与による改善効果

タイトル 肥育素牛における導入時からの増体遅延へのUDCA製剤投与による改善効果
担当機関 島根県家畜病性鑑定室
研究期間 2000~2005
研究担当者 森脇俊輔
東 智子
発行年度 2006
要約 黒毛和種肥育牛において導入時の飼養環境急変に伴う増体遅延の改善を目的に、導入から 14週間ウルソデオキシコール酸(UDCA)製剤を一日当たり500mg経口投与する。投与群は導入直後からの 体重減少が認められず順調に増体し、枝肉成績も良好となる。
キーワード 黒毛和種肥育牛、UDCA製剤、血液化学発光能、増体効果、枝肉成績
背景・ねらい 黒毛和種肥育牛の素牛においては、導入時の輸送、農場へ着地後の群編成、給与飼料の変更等の ストレスにより、肥育農場導入直後から増体遅延が認められる場合がある。これらストレスからの生体への 影響の低減或いは改善を目的に、強い利胆作用、肝細胞保護作用、免疫増強作用および胃液、 膵液分泌促進作用を持つUDCA製剤を投与し、導入時からの増体量、免疫機能、肝機能、産肉成績への 影響について調査する。
成果の内容・特徴
  1. 供試牛は同一市場から肥育農場に導入された黒毛和種去勢牛8頭で、UDCA製剤は、1日当たり10g (UDCAとして500mg)を経口的に投与し、投与区を5頭(種雄牛A;2、B,C,D;1)、対照区を3頭(A;2、B;1)と する。
  2. 供試牛の投与3週間後における平均増体重は、投与区が非投与区と比べ10Kg増加する傾向があり、 14週目までこの体重差が維持される。一日増体量(DG)は、投与区では導入時から14週目まで0.8~1.0で 推移するが、非投与区では導入時の0.8から6週目の0.4へと減少し、その後14週目の0.8に回復する (図1)。
  3. 供試牛全頭において、導入直後白血球数の増加、好中球等の貪食細胞の活性化(血液CL能)が 認められる。投与区の白血球数は導入時から6週目まで減少するが、その減少傾向は非投与区と 比べ大きく推移する。一方、血液CL能は導入~14週目まで投与区が非投与区と比べ高く推移する 傾向を認め、貪食細胞の活性化が維持される傾向である (図2・3)。
  4. 供試牛の血清総コレステロール値(T-CHO)は、導入直後の飼養管理の変更により投与区、 非投与区ともに減少する。しかし、T-CHOは投与区では3週目から、非投与区では6週目から 増加傾向を認め、その傾向に3週間の差を認める(図4)。
  5. 出荷時の産肉成績は表1に示すとおり、枝肉重量およびBMS№は投与区では423.1±26.8Kgおよび 5.6±2.4、非投与区では390.7±6.1Kgおよび2.7±0.5であり、投与区が良好である。
成果の活用面・留意点
  1. UDCA製剤の肥育前期での投与は、肥育素牛導入後の採食量の低下、増体遅延が認められる農場に おいて、増体の改善効果および枝肉成績の向上が期待できる。
  2. UDCA製剤は利胆作用、肝細胞保護作用などが認められることから、肥育中期での利用が 考えられるが、この時期における投与期間、投与量についての検討が必要である。
図表1 220317-1.jpg
図表2 220317-2.jpg
図表3 220317-3.jpg
図表4 220317-4.jpg
図表5 220317-5.jpg
カテゴリ 飼育技術 出荷調整 肉牛 輸送

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