タイトル |
乳牛に脂肪酸カルシウムを給与するためのペレット化技術 |
担当機関 |
山口畜試 |
研究期間 |
2002~2005 |
研究担当者 |
大石理恵
岡崎亮
小林清敬
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発行年度 |
2006 |
要約 |
乳脂肪中の共役リノール酸割合の増加に効果のある脂肪酸カルシウムを乳牛に効率的に給与するには、 大豆粉と組合せたペレット化が有効である。
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キーワード |
乳牛、ペレット化、脂肪酸カルシウム、共役リノール酸
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背景・ねらい |
牛乳市場では厳しい競争環境が続いているため、高付加価値化・差別化の視点から、特徴のある牛乳の 生産技術の開発並びにその商品化が求められている。一方、反芻動物由来の食品に多く含まれる共役 リノール酸は、抗がん作用、抗動脈硬化作用及び体脂肪減少作用があるとされている。 そこで、脂肪酸カルシウム(以下「脂肪酸Ca」という。)を用いて、共役リノール酸を多く含む牛乳の 生産方法について検討し、牛乳の消費拡大に資する。特に、脂肪酸Caは嗜好性が悪いという難点があるため、 ペレット化を試み、採食性の向上を図る。
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成果の内容・特徴 |
- 2頭3群の搾乳牛を用いて、3期45日間、32ラテン方格法により、アマニ油脂肪酸Ca あるいは大豆油脂肪酸Caを400g/日給与した。
- 乳脂肪中の共役リノール酸の割合は、アマニ油脂肪酸Caあるいは大豆油脂肪酸Caを給与すると、 脂肪酸Caを給与しない場合に比べて、約2倍の値となる(表1)。
- アマニ油脂肪酸Ca又は大豆油脂肪酸Caを乳牛に給与しても、乳量、乳成分、体重及び血液性状に 変化は見られない(表2、3)。
- アマニ油脂肪酸Ca、小麦粉及び糖蜜をベースに、乳牛用配合飼料、ふすま、大豆粕、大豆粉の いずれか一つを配合してペレットを作製した場合、材料と水を混合し、チョッパーで押し出した後、 乾燥させると、直径5mm、長さ1~2cm程度のペレットを作製することができる。
- 嗜好性の劣る脂肪酸Caを乳牛に給与するには、大豆粉を加えたペレットが有効である (図1)。
- 以上から、乳牛に大豆粉とアマニ油脂肪酸Caとを組合せたペレットを給与することにより、 嗜好性の劣る脂肪酸Caを容易に摂取させることができ、乳脂肪中の共役リノール酸の割合を増加させ、徴のある牛乳を生産することができる。
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成果の活用面・留意点 |
- 乳牛に脂肪酸Ca等の油脂を給与する場合は、給与飼料中の脂肪含量が乾物中5~6%以下になるように 留意する必要がある。
- 混合給与方式(TMR方式)では、脂肪酸Caをそのまま混合して給与する。脂肪酸Caの嗜好性には 個体差があるので、分離給与方式では、大豆粉を加えたペレットを濃厚飼料と一緒に給与する。
- ペレット作製時の配合割合は、脂肪酸Ca:80%、小麦粉:10%、糖蜜:5%、大豆粉:5%が 目安となる。
- 搾乳牛(体重650kg、乳量25kg/日)1頭当たり、脂肪酸Caを1日400g給与する場合の飼料代を 試算すると、粉状のままでは140円、ペレットでは165円のコストアップとなる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
乾燥
高付加価値
コスト
小麦
消費拡大
大豆
大豆粕
乳牛
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