タイトル |
ナシ「幸水」の萎縮病軽症樹に対する土壌改良による樹勢低下の軽減効果 |
担当機関 |
落葉栽培担当 |
研究期間 |
2006~2007 |
研究担当者 |
松家義克
森 聡
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発行年度 |
2007 |
要約 |
粘質な水田転換ナシ園において、主幹周囲へ土壌改良資材を混合する部分深耕は、土壌物理性の向上等により、100cm以上の枝発生や着果を促し、樹勢低下の軽減に有効である。混合する土壌改良資材は腐植酸資材、パーライト(細粒)が適する。
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キーワード |
ナシ、萎縮病、土壌改良
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背景・ねらい |
本県のナシ栽培では、萎縮病の発生が増加してきており、ひどい場合には枯死がみられる。その対策として補植、改植が行われているが、順調に育たない場合があり、収益確保のため既存樹の維持回復が求められている。そこで、萎縮病軽症樹に対する土壌改良効果を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 土壌改良は、主幹を中心に放射状に8か所、直径30cm、深さ30cm程度を部分深耕し、腐植酸資材の場合1穴当たり1kg、パーライト(細粒)の場合1穴当たり10リットルを混合し、埋め戻す(図1)。
- 土壌物理性のうち、孔げき率、粗孔げきは、深耕処理、土壌改良資材混合によって増加する。特にパーライト混合で易有効水分量を含め増加が著しい(表1)。
- 処理後の生育は、2年目では、園全体の新梢にクロロシスが発生し、良くない状態であるが、土壌改良資材を混合した区では、無処理に比べて100cm長以上の枝数や着果数の増加がみられ向上する(表2)。パーライト混合では、易有効水分量の増加など土壌物理性の向上、また、腐植酸資材混合では、土壌物理性の向上以外に資材に含まれる養分による効果が考えられる。
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成果の活用面・留意点 |
- 現地における「幸水」老木(35年生程度)の萎縮病軽症樹に対する結果である。軽症の程度は1主枝に軽い萎縮症状の枝葉あり。
- 試験園は粘質な水田転換園で、主要根群域が30cm程度である。
- 深耕位置、箇所数については、園地条件、樹齢等によって検討を要す。
- 処理時期については、1月処理ではその年の秋では顕著な根張りが認められなかったことから、根張りを重視するならもう少し早めの秋根の伸長頃の検討を要す。
- 深耕は、ホールディガーなど機械を使用し、営農集団で実施する方が効率的である。
- 土壌改良は、萎縮病軽症樹の樹勢低下軽減方法であるが治癒方法ではない。計画的な植え替えとその成園化までの延命方法の一つとする。今後、早期成園化へ向けて病害虫分野等含め検討を要す。
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図表1 |
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カテゴリ |
萎縮病
改植
害虫
水田
水田転換園
早期成園化
土壌改良
ナシ萎縮病
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