タイトル |
パンジーの秋出し栽培における苗低温処理による高品質多収技術 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター |
研究期間 |
2006~2008 |
研究担当者 |
前田茂一
仲 照史
角川由加
中野善公(近中四農研)
吉川弘恭(近中四農研)
|
発行年度 |
2007 |
要約 |
パンジーの10月上中旬の出荷を想定した作型において、本葉2~4枚のセル成型苗を2±2℃の暗黒条件下で1~4週間冷蔵すると、高温期の耐暑性が向上し、鉢上げ後の製品化率と開花時の外的品質を高めることができる。
|
キーワード |
パンジー、セル成型苗、苗冷蔵、高温障害
|
背景・ねらい |
夏期の気温上昇に伴い、秋出荷作型を行うパンジーの生産現場では、高温障害と思われる発芽後の生育不良や品質低下が近年再び問題となっている。そこで、高温障害による成苗化率低下の著しい10月上中旬出荷の早出し作型において、セル成型苗に耐暑性を付与して高温障害を回避し、高品質多収となるための苗低温処理の処理時期と期間について検討する。
|
成果の内容・特徴 |
- 播種後30~40日後のセル成型苗を2±2℃で1から5週間冷蔵処理することにより、鉢上げ後の製品化率と開花時の外的品質が向上する(表1、図1)。
- 4週間以内の冷蔵処理では、平均開花日、開花時の外的品質・製品化率には大きな差は見られないが、最終定植日が8月30日となる5週間の冷蔵処理では平均開花日が4週間以内の冷蔵処理と比較して10日程度遅延し、草丈や展葉数が減少して開花株の大きさもやや小型化する(表1、図1)。
- 1~2週間の冷蔵処理では、鉢上げ後2週目まで(冷蔵1週間処理では3週目まで)の平均気温が無処理区よりも高く(表1)、高温時に測定した冷蔵処理区における開花株のFv/Fm値が無処理区と比較して大きい(図2)ことから、冷蔵処理により耐暑性が高まるとともに光合成ポテンシャルが向上し、生育がより健全になることが示唆される。
|
成果の活用面・留意点 |
- 冷蔵処理により徒長抑制等の外的品質向上効果が見込まれるが、冷蔵庫への入庫前に5ppmのウニコナゾール液を株当たり0.5mlずつ葉面散布して苗の徒長を抑制することで、外的品質をさらに向上させることができる。
- セル成型苗の冷蔵処理時には、冷蔵中に苗が乾かないように空のセルトレイを向かい合わせにして蓋をし、さらに、冷風が直接苗に当たらないようにガムテープなどで目地をふさいだ段ボール箱等の中にセルトレイを積み重ねて梱包し、冷蔵を行う。
- パンジーは、使用する品種によって低温処理効果に差があると考えられ、実際に生産現場で利用されている多様な品種で効果を確認する必要がある。
- パンジーの冷蔵処理を行うにあたり、苗齢、処理温度、冷蔵期間等については過去の知見(奈良県農業試験場研究報告24号 、1993)を参考にしたが、今後、これらについてはより詳細な検証を加えていく必要がある。
|
図表1 |
|
図表2 |
|
図表3 |
|
カテゴリ |
高温対策
高品質多収技術
栽培技術
出荷調整
耐暑性
播種
パンジー
品種
|