タイトル |
飼料イネWCSを20%含む発酵TMR給与による夏期の泌乳と繁殖成績維持効果 |
担当機関 |
広島総技研畜技セ |
研究期間 |
2007~2007 |
研究担当者 |
新出昭吾
神田則昭
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発行年度 |
2007 |
要約 |
牛群平均乳量30kg/日の農家で、切断長3.0cmの飼料イネWCSを乾物で20%を含み、乾物中のNDF含量33%前後、NFC含量38%前後に調整した発酵TMRの給与は、夏期においても乾物摂取量が多く、泌乳と繁殖成績を維持できる。
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キーワード |
飼料イネWCS、切断長、発酵TMR、NDF、NFC
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背景・ねらい |
飼料イネホールクロップサイレージ(WCS)の給与は、養分要求量の多い高泌乳牛に給与した場合、飼料摂取量が抑制され、泌乳成績が低下することが懸念され、農家に普及していない事例が散見される。そこで、農家で、夏期においても飼料イネWCSを乾物20%混合した発酵TMRの給与は泌乳や繁殖成績の維持が可能なことを実証する。
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成果の内容・特徴 |
- 切断長3.0cmで収穫した飼料イネWCS(生研センター開発中の汎用型収穫機による)を乾物で20.1%混合し30日間貯蔵した発酵TMR(飼料イネTMR)を用いる(表1)。
- 年間牛群検定成績で305日平均乳量10,090kg(FCM量9,636kg)の繋ぎ式飼養の農家で、5~9月の夏期の5ヶ月間にわたり、従来の購入乾草を用いた発酵TMR(購入乾草TMR)と比較する(表1)。乳量が同一になるように各区20頭、計40頭を用い、乾物摂取量、泌乳成績への影響を一元配置法で調査する。なお、両区とも泌乳ステージに応じて、配合飼料や乾草を追加給与する。
- 調製後30日貯蔵した飼料イネTMRの発酵品質は、いずれのTMRもpHが4.3前後、V-Scoreが95点前後で、嗜好性も良好である。
- 乾物摂取量は、飼料イネTMR区が21.8kg/日であり、購入乾草TMR区の19.8kg/日より多い(P<0.05)(表2)。
- NDF摂取量は両区に差がないが、摂取飼料乾物中のNDF含量は、飼料イネTMR区が36.4%であり、購入乾草TMR区より低い。一方、NFC含量は飼料イネTMR区が高い(表2)。
- 305日推定乳量は両区に差は認められないが、305日推定FCM量は飼料イネTMR区が8,698kgで高い(表2)。
- 乳成分は、飼料イネTMR区が、乳脂率3.84%、乳タンパク質率3.42%および無脂固形分率9.01%と高い(表2)。
- 実証給与期間中の授精回数に対する受胎頭数割合および一頭当り授精回数は、飼料イネTMR区が37.5%、2.0回と優れている(表2)。
- 飼料イネ発酵TMRは、嗜好性も良好であり、NDF含量やNFC含量を調整すれば夏期の乾物摂取量を維持でき、飼料イネWCSの給与は乳量を低下させるという懸念が払拭できる飼料である。
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成果の活用面・留意点 |
- 飼料イネWCSをTMR構成原料として用いる場合、乳量30kg/日以上の乳牛には、粗飼料割合を高くしないこと、NDF含量を32~33%、NFC含量を38~39%程度にするよう考慮する。
- 飼料イネWCSの切断長が長いと乾物摂取量が抑制されるので、1.5~3.0cmにする。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
収穫機
乳牛
繁殖性改善
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