タイトル |
ほ場で確認できるホウレンソウケナガコナダニのトラップ開発 |
担当機関 |
山口農林総セ |
研究期間 |
2005~2007 |
研究担当者 |
東浦祥光
本田善之
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発行年度 |
2007 |
要約 |
農家がほ場で、ホウレンソウケナガコナダニの発生を容易に確認できるモニタリングトラップ(コナダニ見張番)を開発した。同トラップは潅水しても濡れにくい構造で、コナダニを肉眼で確認しやすく、従来のトラップと同等以上の発生確認が可能である。
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キーワード |
ホウレンソウ、ホウレンソウケナガコナダニ、モニタリング、トラップ
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背景・ねらい |
中山間部を主体とした雨除けホウレンソウ産地では、近年、ホウレンソウケナガコナダニ(以下コナダニと略)が広域に発生し、品質・収量の低下防止対策が重要課題となっている。コナダニは、栽培初期には発生が確認しにくいため防除判断が困難で、被害が見えてからでは防除効果が低く、散布可能な薬剤使用時期を逸する。そこで、農家がほ場で容易にコナダニの発生を確認できるトラップを開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 山口式簡易モニタリングトラップ(コナダニ見張番)は上部シート(光を反射し、断熱性、防水性を備えた素材)、下部シート(防水性を備えた素材)、誘引シート(黒画用紙等に両面テープで乾燥酵母等をコナダニの餌として付着)で構成される(図1)。
- 「コナダニ見張番」をほ場の地表面に設置して1~2日後に、黒い誘引シート上で動き回る乳白色のコナダニを肉眼またはルーペで確認できる(図2)。
- 「コナダニ見張番」内の温湿度差は、土壌表面より小さく、コナダニの活動に好適な温度域10~25℃の期間は84.5%、湿度域75~100%の期間は99.2%とほぼ全期間で好適温湿度を維持可能で、コナダニの誘引性に優れる(表1)。
- 従来の「コナダニトラップ」(春日式)と「コナダニ見張番」によるコナダニの発生確認率は、ともに25.6%で、両方のトラップでコナダニ発生確認の結果が一致する割合は約95%である。また、「コナダニ見張番」は「コナダニトラップ」に比べ土壌が多湿条件の時にも捕獲数が多く、「コナダニトラップ」と同等以上にコナダニの発生状況を確認できる(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- コナダニの発生は集中分布するため、「コナダニ見張番」は1つの雨除けハウス(5m×50m)で均等に10個以上、なるべく多く設置する。
- 「コナダニ見張番」を設置しても潅水・防除は通常通り実施できる。排水が悪く潅水などで土壌表面を水が流れるほ場では、誘引シートの濡れ防止として周囲に幅5mm×高さ5mm程度の不織布などを貼ることにより使用できる。
- 「コナダニ見張番」は長期間放置すると、コナダニの発生源となる恐れがあるので、遅くても1週間以内に回収する。
- 「コナダニトラップ」(春日式)は、持ち帰った土壌と乾燥酵母をまぶして二つ折りにした濾紙をビニール袋に入れて、2~3日後に濾紙に集まったコナダニを実態顕微鏡で計数する手法:(春日ら2005)Shikoh Kasuga,Ken-ichiro Honda,Akira Kawai and Hiroshi Amano(2005) Appl.Entomol.Zool.40(2):303-308.
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
乾燥
中山間地域
防除
ほうれんそう
ホウレンソウケナガコナダニ
モニタリング
薬剤
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