乳牛への微生物培養産物飼料添加による乳房炎予防効果

タイトル 乳牛への微生物培養産物飼料添加による乳房炎予防効果
担当機関 兵庫農総セ
研究期間 2005~2008
研究担当者 生田健太郎
山口悦司
発行年度 2008
要約 分娩予定30日前から分娩90日後まで微生物培養産物(乳酸菌1種、酵母類2種の培養液をフスマに吸着乾燥)を70g/日/頭飼料添加により投与すると、分娩90日後までの乳房炎の発症を予防でき、体細胞数が低下する。
キーワード 乳用牛、微生物培養産物、体細胞数、乳房炎
背景・ねらい
乳牛の乳房炎は酪農家に甚大な経済的損失を与える疾病であり、近年は治療よりも搾乳衛生など予防の重要性が認識されつつある。乳房炎は乾乳直後と分娩前後に多発する傾向にあり、特に分娩前後の乳房炎は免疫機能の低下が要因として考えられている。  一方、乳酸菌などのいわゆるプロバイオティクスと呼ばれる微生物資材には免疫賦活や抗菌作用が報告されているものもある。そこで、in vitroの実験で動物細胞に対する免疫活性作用が確認されている微生物培養産物を用いて泌乳前期(分娩~泌乳最盛期)における乳房炎の予防効果を検討する。
成果の内容・特徴
  1. 土壌由来の乳酸菌1種と酵母類2種からなる微生物群を生米糠とブドウ糖からなる培養液中で通気培養した後、培養液をフスマに吸着乾燥させた微生物培養産物(RHスーパーバイオ、ハッピーグロウ社製)を供試資材とする。
  2. ホルスタイン種経産牛(2~11産)10頭を分娩予定日順に投与区と対照区に割付け、投与区の5頭には分娩予定日の30日前から分娩90日後までの間、微生物培養産物を70g/日/頭飼料添加により投与し、対照区の5頭は無投与とする。
  3. 分娩後、乳量を毎日計量し、乳成分は1か月間隔で3回測定する。血液成分は分娩予定日30日前、分娩後30、60及び90日目に測定する。乳房炎の発症・治癒は乳汁異常(ブツ)、乳房触診(腫脹・硬結・疼痛)およびCMT変法にて診断し、発症した場合は乳廃棄に伴う損失額を算出する。投与区の1頭は分娩直後の乳頭踏傷により除外する。
  4. 乳量は投与区39.8±6.2kg/日、対照区40.0±2.0kg/日で両区間に有意差は認められない(表1)。一般乳成分率は調査した3回とも全ての項目において両区間に有意差は認められない(表1)。体細胞数リニアスコアは、分娩後2か月目に投与区0.50±1.00、対照区3.60±2.19と投与区が有意に(P0.05)低く、3か月目においても投与区が低い傾向(P0.10)が見られる(表1)。
  5. 血液成分は調査した全ての項目(血糖、総コレステロール、ヘマトクリット、総蛋白質、アルブミン、尿素窒素、カルシウム、無機リン、アスパラギン酸トランスフェラーゼ 、γグルタミールトランスペプチダーゼ)において4回の調査時点と両区間に有意差は認められない。
  6. 乳房炎は対照区で5頭中4頭で発症する(表2)が、投与区5頭のうち、分娩直後に乳頭踏傷を起こした1頭を除く4頭では発症しない。その結果、両区の発症率に有意差(P0.05)が認められる。
  7. 対照区の4頭で延べ8回の発症があり、このうち甚急性乳房炎で治療日数が長期に及ぶ99号牛の4回目の発症を除いて乳房炎発症1回当たりの平均損失乳代を計算すると、約28,000円になる(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 簡易に実施可能な飼料添加により泌乳前期に多発する乳房炎を予防する。
  2. 本研究で使用した微生物培養産物の経費は56円/日/頭である。
図表1 220564-1.jpg
図表2 220564-2.jpg
カテゴリ 乾燥 くり 乳牛

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