制限給餌法による強制換羽が鶏の生殖器に及ぼす影響

タイトル 制限給餌法による強制換羽が鶏の生殖器に及ぼす影響
担当機関 香川畜試
研究期間 2007~2007
研究担当者 大西美弥
安部正雄
発行年度 2008
要約 給与飼料を鶏体維持エネルギーの70%に制限する強制換羽(制限給餌法)により、鶏生殖器は絶食法と同程度以上に萎縮し、組織学的にも休止状態になる。絶食法での生殖器最小時と同程度の状態になるための最短の制限給餌期間は3週間程度である。
キーワード 制限給餌、強制換羽、鶏生殖器
背景・ねらい
強制換羽は一般的には絶食法が用いられているが、絶食という強いストレスを与えることによる免疫力の低下やサルモネラ排菌の危険性が懸念され、近年では動物愛護の観点から問題があるとされている。絶食法に替わる強制換羽法として鶏体維持エネルギーの70%量に制限給餌する方法が藤中らにより示され、この方法は絶食法よりストレスが少なく、通常給与飼料が使用できる長所を持つ。しかしこれまでに制限給餌期間と体重や産卵率、卵質への影響についての報告はあるが、鶏の生殖器への影響についての報告はない。そこで、鶏生殖器重量測定と組織検査により鶏生殖器への影響を調査する。
成果の内容・特徴
  1. 試験方法は、平均体重1.66kgの76週齢採卵鶏を用い、体重を絶食により8日間で25%減少させる絶食区、鶏体維持エネルギーの70%量を5週間給餌する制限区を設け、制限区の給餌量は試験開始時の平均体重と開始前1週間の鶏舎内温度から式1により維持エネルギーを計算、その70%と供試飼料のエネルギーから決定し、制限解除後は直ちに通常の給与量に戻す。絶食区では絶食日数と同日数かけて徐々に通常給与量に戻す。調査は、毎週平均体重の鶏を3羽ずつ抽出し、解体により生殖器の重量測定と組織検査を行う。
  2. 卵巣重量は、開始時に平均48.1gが、絶食区では2週目に6.3gまで減少し、4週目には開始時重量まで回復する。制限区では3週目に5.8gまで減少し、7週目には回復する(図1)。
  3. 卵管重量は開始時に63.9gが、絶食区では2週目に13.5gに減少し、4週目にほぼ回復する。制限区では、3~5週目に8.9~13.0gまで減少し、7週にはほぼ回復する(図2)。
  4. 卵管膨大部の卵白分泌細胞の活動ステージは、絶食区では2週目に細胞質内の空胞が目立つ休止期、3週目には再生期、4週目には好酸性の顆粒が充満する分泌期である。一方、制限区では、3週目に休止期、6週目に再生期、7週目に分泌期である(写真1)。
  5. 制限区では、卵巣及び卵管重量の回復期において、絶食法に比較して個体差が大きい傾向がみられた。
  6. 制限給餌法では、制限給餌3週間程度で絶食法最小時と同程度まで鶏生殖器が萎縮し、制限解除後は2週間程度で開始時重量まで回復するが、絶食法に比べ個体差がみられる。
成果の活用面・留意点
  1. 制限区では生殖器の回復期の重量に個体差がみられるが、この個体差を小さくするには、制限給餌開始時の体重や制限期間中の飼料摂取量を可能な限り均一にすることが重要であると考える。
  2. また、制限給餌法では、制限開始前の鶏舎内温度により制限給餌量を決定することから、実施の前後で温度変化の少ない時期あるいはウインドレス鶏舎で実施した方が良い成績が得られると考える。
図表1 220565-1.jpg
図表2 220565-2.jpg
図表3 220565-3.jpg
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