タイトル |
モウソウチクとトウフ粕およびショウユ粕混合ペレットの飼料価値と乳牛への給与 |
担当機関 |
愛媛畜産セ |
研究期間 |
2007~2009 |
研究担当者 |
家木 一
小池正充
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発行年度 |
2008 |
要約 |
モウソウチク、トウフ粕およびショウユ粕を乾物比5:4:1で混合したペレットは、栄養価がアルファルファヘイキューブとほぼ同等で、乳牛への給与では嗜好性が良く、飼料乾物中10%のアルファルファヘイキューブとの代替給与が可能である。
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キーワード |
乳用牛、モウソウチク、食品製造副産物、ペレット
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背景・ねらい |
近年、管理の行き届かない“放置竹林”の拡大が社会問題となっている。畜産分野ではタケの飼料化が模索されている一方で、流通性やハンドリングなど実用面での不利やタケの栄養的価値の低さも指摘されている。これらの問題点を解消するため、成分に偏りがあり産出量の多い食品製造副産物のトウフ粕およびショウユ粕をモウソウチクと混合してペレット加工を施した飼料(BSSP)について、その飼料成分や反すう家畜での栄養価を測定するとともに、乳牛による嗜好性やアルファルファヘイキューブ(AC)と代替して給与した場合の乳生産への影響を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- BSSPの原料は、ペレット成型に適する条件を勘案して、モウソウチク、トウフ粕およびショウユ粕を乾物比5:4:1で混合する。
- BSSPの化学組成をACと比較すると、粗タンパク質含量はACに近い値となり、粗脂肪含量はBSSPが大幅に高くなる(表1)。
- ヤギ3頭を用いて全糞採取による消化試験を行ない、ACを基礎飼料とする間接法でBSSPの栄養価(乾物中)を求めると、可消化養分総量が59.7%、可消化粗タンパク質が11.1%と算出され、ACとほぼ同等の値になる(図1)。
- BSSPの乳牛による嗜好性をモウソウチクのみを原料とするペレットと比較するため、ホルスタイン種泌乳牛21頭に各飼料を4日間連続で乾物2kgずつ給与して、給与後1時間での残飼の有無を調査すると、モウソウチクペレットは80%近くの牛で残飼が発生するのに対し、BSSPは全ての牛が全量を採食する(図2)。
- ホルスタイン種泌乳牛4頭を用い、給与飼料の10%(乾物比)をACで給与した場合(AC区)とBSSPで給与した場合(BP区)について2×2スイッチバック法で比較すると、乾物摂取量は両区で差がなく、乳量および乳成分にも処理による差は生じない(表2)。このことから、BSSPは、乳牛用飼料として飼料乾物中10%のACとの代替利用が可能である。
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成果の活用面・留意点 |
- BSSPはACよりも高脂肪であることから、乳牛への給与においては飼料全体の脂肪含量に留意した飼料設計を行う。
- 本情報では推定生育年数3年以上のモウソウチクを供試しているが、タケの種類や生育段階によっては飼料価値が異なる可能性もある。
- 原材料費を除いたペレット製造に係るコストは、年間1,000tの生産規模で1kgあたり30円台半ばと試算されている。実用化に向けては、食料自給と環境保全に立脚した持続可能な原料供給システムの構築、ならびに工場規模での生産体制の整備が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
アルファルファ
加工
コスト
飼料設計
乳牛
山羊
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