タイトル |
乳牛へのバイオエタノール残さ(DDGS)の給与効果 |
担当機関 |
兵庫農総セ |
研究期間 |
2008~2010 |
研究担当者 |
生田健太郎
山口悦司
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発行年度 |
2008 |
要約 |
泌乳牛にバイオエタノール残さ(DDGS)を乾物中16.3%給与すると乾物摂取量や乳成分率には影響しないが、乳量が増加する。
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キーワード |
乳用牛、バイオエタノール残さ(DDGS)、乳量
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背景・ねらい |
米国でのバイオエタノール生産に伴って大量に産出されるバイオエタノール残さ(Distillers dried grain with soluble:DDGS) がわが国へも輸入されるようになり、高騰する穀類の代替濃厚飼料としての活用が期待されている。しかし、国内における給与実績も少ないため、DDGSの配合飼料への混合割合は数%程度に止まっている。そこで、DDGSを15%以上多給した場合の乳生産性や第一胃液性状への影響を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 対照区TMRの乾物中16.3%をDDGS(1頭1日当たり原物約4kg)で置換し、各種養分含量に大差がないよう試験区TMRを調製する(表1)。TMRは日量の40%を9:00に、残りを16:00に給与する。
- 泌乳牛10頭(1~2産)を供試し、平成20年6月4日から1期14日間(予備期7日+本試験期7日)のクロスオーバー法で飼養試験を実施する。試験開始時の供試牛の分娩後日数は62~266日(139±65日)である。体重、乾物摂取量、乳生産性および第一胃液性状について調査する。第一胃液は朝の飼料給与直前(前日夕方の給与後16時間)と給与後2時間の2回採取する。
- 体重と乾物摂取量および乳成分率には差はないが、日平均乳量は試験区が多い傾向を示し、4%脂肪補正乳量は対照区28.3kg/日に対し、試験区30.3kg/日と有意に多い(表2)。
- 第一胃液性状のうち、pHとアンモニア態窒素濃度は飼料給与後16時間に試験区が有意に高い。総揮発性脂肪酸(VFA)濃度は飼料給与後2及び16時間とも試験区が有意に低い。VFA中の酢酸比率は飼料給与後2時間に試験区が有意に低く、酪酸の比率は飼料給与後2時間に試験区が有意に高い。原虫数は飼料給与後2及び16時間とも試験区が有意に多い(表3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 本研究の結果はTMR方式での飼料給与に活用できる。
- 現状ではDDGSは単味飼料としての本格流通には至っていない。
- 穀類等の国際価格が大きく変動しているため、DDGS等の新規製造残さの活用に際しては、養分バランスとコストを考慮した上で経営への導入を決定する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
経営管理
コスト
乳牛
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