タイトル |
水稲新品種候補系統「南海121号」の育成 |
担当機関 |
宮崎県総合農業試験場 |
研究期間 |
1983~1994 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1994 |
要約 |
水稲「南海121号」は、愛知52号/ミネアサヒの組合せから育成された粳系統で、早生、極良食味、強稈、いもち耐病性中、穂発芽難の特徴がある。このため「日本晴」等の早生品種に替わって、福岡県と宮崎県で普及が予定される。
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背景・ねらい |
九州地域の早生の主力品種である「日本晴」については食味が不十分であり、これに替わる極良食味品種が要望されている。また宮崎県のいもち病の発生しやすい中山間地域では、この地域に適応した良食味品種が無く、いもち病に強い極良食味の早生品種が強く要望されている。そこで、早生、極良食味、いもち耐病性強を目標に育種を行った。
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成果の内容・特徴 |
- 「南海121号」は、愛知52号/ミネアサヒの組合せから育成された水稲の早生の粳系統で早植栽培では「コシヒカリ」級、普通期栽培では「日本晴」級の熟期で、「ミネアサヒ」と同様な熟期である。
- 普通期栽培では、「日本晴」と比較し、出穂期、成熟期、稈長は同程度、穂長はやや短く、穂数はやや多く、耐倒伏性は強い。「ミネアサヒ」と比較し、これらの形質は同程度であるが、穂発芽性は「ミネアサヒ」より難である。
- いもち耐病性遺伝子は、Pi-a, iを有し、葉いもちと穂いもちの圃場抵抗性は中、白葉枯病抵抗性は中、縞葉枯病に罹病性である。
- 玄米収量は「日本晴」と同程度で「ミネアサヒ」よりわずかに多い。玄米千粒重は日本晴より軽く「ミネアサヒ」より重い。玄米品質は腹白少なく「日本晴」に優り、「ミネアサヒ」と同程度に良い。
- 食味は、「日本晴」より明らかに優れ、「ミネアサヒ」よりやや優れ、「ヒノヒカリ」並の極良食味である。
- 「南海121号」は、早生、極良食味、強稈、いもち耐病性中、穂発芽難の特徴から、暖地の平坦肥沃地から中山間地に適応し、福岡県では「日本晴」と「ミネアサヒ」の一部に替わる早生品種として、宮崎県では「コガネマサリ」、「黄金錦」、非奨励品種の「ミネアサヒ」等に替わり、中山間地の早生の基幹品種として、普及が予定される。
(表参照)
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成果の活用面・留意点 |
- 「ミネアサヒ」と同様に感光性が弱く積算温度で出穂期が決定するため年次により出穂期が変動しやすいので、出穂期の変動に注意し、適切な肥培管理を行う。
- いもち耐病性は中程度なので、適期防除を行う。
- 良質米生産を図るため、適期収穫を励行する。
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図表1 |
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カテゴリ |
病害虫
育種
いもち病
縞葉枯病
新品種
水稲
中山間地域
抵抗性
肥培管理
品種
防除
良食味
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