耐暑性若莢用インゲンマメ品種「石垣1号」の育成

タイトル 耐暑性若莢用インゲンマメ品種「石垣1号」の育成
担当機関 国際農林水産業研究センター
研究期間 1994~1994
研究担当者
発行年度 1994
要約 亜熱帯に位置する南西諸島で夏期栽培用の耐暑性サヤインゲン「石垣1号」を品種育成し、サヤインゲンの夏期栽培を組み合わせた新しい作付体系の可能性を拓いた。
背景・ねらい 南西諸島は亜熱帯に属しかつ高地が乏しく、夏期は高温のため温帯野菜の栽培が困難であり野菜不足が問題となっている。国際農林水産業研究センター・沖縄支所では、先にこの野菜不足の解消を目指して熱帯野菜シカクマメ品種「ウリズン」を育成したが、熱帯野菜だけでなく需要が大きい温帯野菜でも耐暑性品種を開発し夏期栽培を可能にしようと考えた。そこで、沖縄の冬春期の主要野菜であるサヤインゲンを取り上げ、耐暑性品種の育成と栽培法の開発を通じ、南西諸島部における夏期の新規野菜の導入による新作付体系開発の契機にしようとした。
成果の内容・特徴
  1. 国際農林水産業センター(旧熱帯農業研究センター)が実施した遺伝資源収集探索調査においてマレーシア国で収集したサヤインゲン遺伝資源から、純系選抜によって石垣1号を育成した。石垣1号は鹿児島県、沖縄県、東京都小笠原など夏期に高温となる地域で、結莢における耐暑性が高いため夏期栽培で多収となり、高温による若莢の品質劣化も少ない(図1、2)。
  2. 石垣1号は、無限蔓性、収穫始期までの日数は播種期を問わず約50日の中生の品種で、小葉は小型、花は赤紫、種子は小粒の黒色、若莢は地色が淡緑で軽く曲がり、莢長12~13cmで筋を有する平莢の品種である。
  3. 結莢のための耐暑性の限界温度は28.0~29.5℃の範囲にあり、平年の気温であれば南西諸島の多くの地点で夏期栽培が可能である(図3)。
  4. 耐暑性の限界温度以下で夏期に栽培された場合には、収穫期間2カ月間で3t/10a程度の収量が得られ、食味は既存品種と同等である。
  5. 夏期の強日射高温条件下では、シルバータフベルのような適切な被覆資材を活用することにより結莢性をさらに高めることができる。
成果の活用面・留意点
  1. 石垣1号は若莢の地色が淡く筋ありインゲンであるため内地市場の評価は低い。鹿児島県の南西諸島部や沖縄県の夏期栽培の地場消費用として普及すると考えられる。
  2. 南西諸島の低緯度に位置する沖縄県等では、7~8月の気温が石垣1号の耐暑性限界を越え結莢不良になる場合があるので、6月もしくは9~10月が収穫期になるような作期に栽培するのが安全である。
  3. 低温期には収量が低くなるため冬期栽培の適応性は低い。
  4. 支柱栽培が必要な野菜であるので、サトウキビ等と作付体系を組む時には大規模圃場よりも大型作業機の利用が困難な立地の悪い圃場や小区画圃場が適している。
図表1 220617-1.gif
図表2 220617-2.gif
図表3 220617-3.gif
カテゴリ 亜熱帯 遺伝資源 いんげんまめ さとうきび さやいんげん 耐暑性 播種 品種 良食味

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