冬期放牧牛の体重の維持及び生理的動態

タイトル 冬期放牧牛の体重の維持及び生理的動態
担当機関 熊本県農業研究センター草地畜産研究所
研究期間 1997~1998
研究担当者 志垣啓
城秀信
白石隆
福田晴夫
発行年度 1998
要約 冬季放牧おいて放牧牛1頭当たり0.5haのASP草地を準備すれば、ハイリスクな状態にある妊娠牛においても生理的・臨床的に何ら異常を認めることはなく、安全に放牧を実施することができる。
背景・ねらい 阿蘇地域は、日本でも有数の肉用牛生産地域であり、低コスト肉用牛生産手段のひとつとして、古くから夏山冬里方式の放牧が行われてきた。しかし、子牛価格の低迷の中で更なる所得の向上を図るためには、冬期の舎飼期間をなくし、周年放牧技術を確立することが急務であると思われる。そのためには、今まで過酷な条件のため不可能とされてきた冬期放牧の安全性を実証することが必要である。そこで、ASP草地を用いて濃厚飼料無給与条件下での冬期放牧が家畜への安全性に与える影響について検討した。
成果の内容・特徴
  1. 放牧牛の体重は入牧時と比較し退牧時に7%程度の減少が認められるが、栄養度指数(体重/体高)は正常範囲であり、問題はない(図1、図2)。
  2. 血液性状に大きな変動はなく、臨床的に異常は認められない。
  3. 放牧期間中における流産及び繁殖障害の発生も認められない。
  4. 冬期放牧期間中のASP面積は十分な草量(1頭当たり6トン)が確保できれば、1頭当たり0.5haで十分であり、事故等の発生はない(表1)。
  5. 当所で作成した簡易の飲水施設でも凍結によって飲水不可能となることはなく、十分利用可能である。
  6. 濃厚飼料無給与下での分娩においても事故等の発生はなく、生時体重においても日本飼養標準値と比較しても何ら遜色はない(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 放牧、採草を8月中旬で終了し、秋期に十分な草量を確保することが大切である。
  2. 夏期におけるピロプラズマ病対策を確実に実施し、冬期放牧開始前に十分観察を行い異常牛は冬期放牧を実施しない。
  3. 氷点下摂氏10度でも凍結しない飲水(施設)を確保する。
  4. 牧野組合長会議等で公表し、冬期放牧の普及を図る。
  5. 繁殖育成牛の冬期放牧については安全性に関して未検討のため控える。
図表1 220797-1.gif
図表2 220797-2.gif
図表3 220797-3.gif
図表4 220797-4.gif
カテゴリ 低コスト 肉牛 繁殖性改善 放牧技術

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