対峙培養及び遺伝子解析によるカンキツ樹脂病菌の同定

タイトル 対峙培養及び遺伝子解析によるカンキツ樹脂病菌の同定
担当機関 福岡県農業総合試験場
研究期間 1998~1998
研究担当者 梶谷裕二
大平喜男
発行年度 1998
要約 カンキツ樹脂病菌はカンキツ黒点病菌と対峙培養すると有性世代を形成する。また、両菌のrDNA ITS領域のRFLPパターンが一致する。このことから、カンキツ樹脂病の病原菌はカンキツ黒点病の病原と同一のDiaporthe citriである。福岡県農業総合試験場・病害虫部・果樹病害虫研究室
背景・ねらい 近年、ハウス栽培の温州ミカンでカンキツ樹脂病が多発し、問題となっている。ところが、本病の病原菌についてはPhomopsis sp.とされているものの、種の確定には至っていない。このことから、本病の生態については不明な点が多く、効果的な防除法も確立していない。そこで、本菌の分類学的所属を明らかにし、発生生態の解明及び防除対策上の基礎資料とする。
成果の内容・特徴
  1. カンキツ樹脂病菌はカンキツ黒点病菌(Diaporthe citri)と対峙培養すると、有性世代(子のう殻及び子のう胞子)を形成する(表1)。
  2. カンキツ樹脂病菌とカンキツ黒点病菌及びナシ胴枯病菌(D.medusaea)について、rDNA ITS領域のPCR-RFLP解析を行うと、カンキツ樹脂病菌とカンキツ黒点病菌は同一のRFLPパターンを示す。一方、カンキツ黒点病菌とα柄胞子の形態及び大きさが似ているナシ胴枯病菌は、制限酵素Cfr13[I]で切断した場合、両菌とは異なったRFLPパターンを示す(表2)。
  3. カンキツ樹脂病菌のα柄胞子の大きさは、カンキツ黒点病菌とほぼ同一である(表3)。
  4. カンキツ樹脂病菌をカンキツ果実に接種すると黒点病菌と同様の病徴を示し、病斑部からは接種菌であるPhomopsis属菌が高率に再分離される(表4)。
  5. 以上のことから、カンキツ樹脂病の病原菌をカンキツ黒点病の病原と同一のDiapor the citriと同定した。
成果の活用面・留意点
  1. カンキツ樹脂病の病原菌が明らかになったことで、防除対策を構築するうえでの参考となる。
  2. 各種Diaporthe属菌の分類、同定の基礎資料となる。
図表1 220968-1.gif
図表2 220968-2.gif
図表3 220968-3.gif
図表4 220968-4.gif
カテゴリ 病害虫 温州みかん 害虫 防除 その他のかんきつ

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